① 作物の物質生産・生長・分化・環境応答機構の解明

課題名 ① 作物の物質生産・生長・分化・環境応答機構の解明
課題番号 2013023129
研究機関名 農業生物資源研究所
研究分担 宮尾 光恵
石川 雅也
市川 裕章
井澤 毅
稲垣 言要
石丸 健
岩本 政雄
馬場 晶子
千徳 直樹
伊藤 博紀
村松 昌幸
協力分担関係 東洋大学
京都大学
研究期間 2011-2015
年度 2013
摘要 1. イネ属特有の代謝酵素、葉緑体型PEPCは、水田のような環境に適応するための酵素で、根から吸収したアンモニアの同化に重要な役 割を担っている。緑葉における葉緑体型PEPCの機能の解析を行い、光呼吸経路で生成したアンモニアの再同化に加え、葉緑体内の還元力の過剰蓄積を抑え、光合成を光阻害から保護する役割を担うことがわかった。現在の大気環境下では光は植物にとって過剰であり、様々な光阻害抑制機構が働いている。イネは、これらに加え、葉緑体型PEPCを介する独自の光防御機構をもつことが明らかにされた。
2. 子実の貯蔵タンパク質は食味、加工特性等、穀物品質に大きな影響を与える。タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ様タンパク質(PDIL)はタンパク質架橋を触媒する酵素で、胚乳内のタンパク質顆粒(PB)への貯蔵タンパク質の蓄積に重要な役割を担っている。イネ胚乳のタンパク質顆粒のひとつPB-Iの表層に結合するPDIL2;3は、特定の貯蔵タンパク質をタンパク質合成の場である小胞体に保持する機能を もつこと、タンパク質内架橋を介してこれらのタンパク質をPB-Iに局在させる働きをもつことがわかった。子実の複数の貯蔵タンパク質は特定のPBに局在している。貯蔵タンパク質の局在化機構を詳細に解析することで、コメの品質の人為的改変に結びつくと考えられる。
3. 日本晴(日本型)とカサラス(インド型)間で見いだしたカサラス由来の玄米重(千粒重)を増大させる染色体領域の原因遺伝子TGW6を同定した。本遺伝子は植物ホルモンであるオーキシン(IAA)の合成に関わる新規な酵素タンパク質をコードしていたが、カサラス型遺 伝子は塩基欠失のため機能を失っていた。日本晴では、TGW6の働きで作られたIAAがシンク器官とソース器官で抑制的に作用するが、カサ ラスではIAAが作られず抑制作用が働かないため、玄米の粒長ひいては千粒重が増大することを明らかにした。
4. これまでのイネ開花期制御遺伝子ネットワークの解析から、Ghd7(Lhd4)遺伝子がフロリゲン(開花ホルモン)遺伝子Hd3aの発現を抑制することがわかっている。抑制因子であるGhd7遺伝子を恒常的に発現させ、薬剤誘導性プロモーター制御下でHd3a遺伝子を発現させることによって、薬剤散布により任意の時期に開花を誘導できる組換えイネを作出した。本システムにより、栽培地に応じて開花期の調整が可能となり、作物の栽培域の決定要因のひとつである開花期を考慮せずに育種を行うことができる。
5. 水は過冷却しやすく、純水や雲粒のような微水滴は-30~-40℃まで凍らないことが多い。凍結の初発段階である微小氷結晶形成を触媒する物質が氷核活性物質であり、過冷却を抑制し、0℃に近いマイナス温度で凍結を誘導する。氷核活性物質は、蓄冷装置、人工降雪、 生物資源の冷凍保存等に活用できる。耐寒性の高いレンギョウの各組織の氷核活性の解析から、枝髄が高い氷核活性をもつこと、枝髄の高い氷核活性の原因物質がシュウ酸カルシウム一水和物であることを明らかにした。これは、植物体内で凍結開始に機能する内在性氷核活性物質の初めての単離同定である。
カテゴリ 育種 加工特性 水田 耐寒性 薬剤 良食味

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