課題名 | 食料生産地域再生のための土地利用型営農技術の実証 |
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研究機関名 |
宮城県古川農業試験場 |
研究分担 |
水田利用部 |
研究期間 | 継H24~29 |
年度 | 2013 |
摘要 | <目的> 、東日本大震災から復興し,水田を中心とした食料生産地域を早期に再生するために,地域の担い手に農地を集積するとともに,圃場区画や経営規模の拡大により,コスト競争力のある水田農業の実現が期待されている。 、 土地利用型農業の低コスト化戦略として,現行区画にも対応可能な技術である逆転ロータリ利用の広畝成形播種方式,効率的な作物切り替え技術,乳苗・疎植による水稲移植を組み合わせた,低コスト3年4作水田輪作体系を実証する。また,大区画圃場に対応した鉄コーティング湛水直播の耐倒伏性向上技術や効率的灌排水技術,気象情報に基づく生育診断管理技術などの支援技術を確立し,被災地の低コスト輪作実証体系に導入しその効果を実証する。 、<成果> 、 【鉄コーティング湛水直播】「げんきまる」は散播栽培・点播栽培ともに苗立が良好で有効茎歩合が高く,播種量は3kg/10aが適していると考えられる。 倒伏低減対策としては,施肥では「LP70:LPS80=7:3」で倒伏程度がやや軽く多収であった。水管理では,「中干し+4葉期」,「中干し+登熟前期」の倒伏程度が軽かった。 【潅漑・排水】畝間地表灌漑では給水栓ライン上(幅約4.5m)の地下水位と土壌水分率の上昇が見られたが,ライン外の上昇は見られなかった。額縁明渠の表面排水効果は,影響範囲は概ね5m程度までと大区画水田では限定的であった。 、 【土壌】実証現地復旧圃場の交換性ナトリウムはやや高いものの,土壌ECは水稲や大豆に塩害の生じない水準で塩害症状もなかった。実証現地では土壌クラストによる大豆の出芽阻害はみられなかったが,播種後の多雨条件では,ナトリウム飽和度15%以下でも出芽阻害レベルのクラスト発生の可能性がある。【雑草】除塩初年目復旧水田における水稲作での拡散性一発処理除草剤,大豆作でのイネ科対象土壌処理剤の効果は高い。復旧前休耕田では,6月末までにグリホサートカリウム塩液剤を散布することで,翌年のコウキヤガラの塊茎萌芽を抑制することができる。【病害虫】幼穂形成期の植生指数から,実証現地水稲の潜在的いもち病発生リスクは高いと判断された。水田周辺の土地利用条件やイヌホタルイの水田内残草量等が,斑点米カメムシ類の発生及び被害量を左右する1要因と思われた。【下層塩分;山元町現地】排水不良とそれに伴う土壌塩分濃度の上昇により,大豆の塩害と湿害が見られた。 、 【現地】水稲乾田直播ほか2年3作体系のすべてを現地農業法人オペレーターに実施してもらい,適応性を検討しながら作業改善を図った。広畝成形播種においては水稲品種毎の籾粒大に合わせた目皿の選定で播種精度が安定する。【水稲乾直;場内】大豆作後の“みやこがねもち”の出芽揃いは良く,苗立ち数は確保されていたが,ほ場内の漏水等により初期生育及び茎数が確保できず,収量は低かった。【大豆晩播狭畦;場内】“あきみやび”は7月上旬播種の狭畦栽培で慣行以上の収量となった。ミヤギシロメでは7月上旬播種では畦間が狭くなるほど収量は高くなったが,同時に倒伏程度も高くなった。【乳苗・疎植】“みやこがねもち”で目標どおりの苗質が得られ,37株/坪植で10a当たり使用箱数はおおむね半減した。収量は疎植によりやや低下し、移植時期を遅らせた場合は乳苗区が低下した。乳苗37株区では稚苗60株に比べ,イネツトムシの発生が多かった。乳苗疎植栽培では,生育後半までいもち病の発病リスクが高く,箱施用剤の効果も生育後半で変動する場合があると考えられた。また,単位面積あたりの箱施用剤の投入量が削減された場合でも,イネドロオイムシ,イネミズゾウムシ,フタオビコヤガ,イネツトムシに対して慣行栽培と同等の防除効果が認められた。乳苗移植栽培が行われる際に,育苗箱施用剤を播種時に使用し簡易乳苗育苗法により乳苗を育成した場合でも,苗の生育は十分に確保できる。 、 麦類の生育予測では,実測値との誤差(平均二乗誤差)は大麦で1~2日,小麦で3~6日であった。1kmメッシュデータを利用した予測ではアメダスデータより誤差がやや大きくなるが,2週間程度先までの予報値を利用すると精度は高まった。 |
カテゴリ | 病害虫 育苗 いもち病 害虫 乾田直播 管理技術 狭畦栽培 経営管理 コスト 雑草 湿害 除草剤 水田 生育予測 施肥 低コスト 土壌処理 播種 斑点米カメムシ 品種 防除 水管理 輪作 輪作体系 |