課題名 | (カ)生態系における有害化学物質等の動態解明と影響評価手法の高度化及び除去技術の開発 |
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課題番号 | 2014025684 |
研究機関名 |
水産総合研究センター |
研究分担 |
桑原隆治 伊藤克敏 持田和彦 河野久美子 隠塚俊満 田中博之 羽野健志 伊藤真奈 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | (カ)実海域における調査で検出された有害性が懸念される主要な多環芳香族化合物(PAHs)のうち、分子量の大きい4 環のピレン及びクリセンを配合飼料に各々単独添加し、マコガレイへ経口投与して濃縮係数を求めた結果、マコガレイ中ピレン及びクリセン濃度は、配合飼料中濃度以上には濃縮されなかった。また、ピレン及びクリセンの濃縮係数は、2 環のナフタレンや3 環のフェナントレンに比べて小さかった。広島湾におけるPAHs 濃度の季節変動を観測し、変動要因を多重比較法により解析することによって予測環境中濃度の算出法を開発した。総PAHs 濃度は、主に懸濁物濃度と水温に影響されることが明らかとなった。瀬戸内海沿岸等の底質に含まれる化学物質を抽出し、海産生物を用いた毒性試験を実施した結果、抽出物は藻類や甲殻類に影響するが、魚類には毒性影響が認められなかった。抽出物の網羅的成分分析により検出された化学物質の毒性データから、抽出物の毒性値を推定し、実際の毒性試験で得られた毒性値と比較した結果、その比の平均は0.66であり、網羅的分析によって概ね半分程度の毒性を評価できると推定された。既往知見を整理・解析し、重油の水溶性画分に対する珪藻と鞭毛藻の感受性には大きな差異があり、珪藻がより強い影響を受けることを明らかにした。防汚物質ポリカーバメートに対する海産生物の感受性の種間差について、海産微細藻類ヘテロシグマ・アカシオ及びキートセロスには顕著な差は認められず、マダイはホシガレイより感受性が約10 倍高く、クロアワビはサザエ、イシダタミとほぼ同等でイボニシよりも高かった。海産ミミズを異なる温度で汚染底質に曝露し、遺伝子発現量の変化を調べた結果、薬物代謝に重要な酵素は、曝露温度が高いほど発現量が上昇した。25℃で飼育した場合、海産ミミズの成長も良く、底質浄化は夏季に効率よく進むことが示唆された。本研究課題の成果は、現場データ及び有害化学物質の影響評価知見等の集積に基づいた国等による化学物質の環境基準策定への貢献、汚染された環境の修復策の提言等に繋がることが期待される。 |
カテゴリ | 季節変動 くり |