課題名 | 新技術の経営的評価と技術開発の方向及び課題の提示 |
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課題番号 | 2014025520 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
千田雅之 久保田哲史 吉川好文 |
協力分担関係 |
宮城県農業・園芸総合研究所情報経営部 (有)ファーミング・スタッフ:新潟県柏崎市 (有)たけもと農場:石川県能美市 トヨタ自動車(株) いしかわ農業総合支援機構 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 農業技術の開発方向の提示に関しては、 a) 北海道道央水田地帯における農業構造の将来予測として、後継者不在高齢農家の離農発生と農地供給が今後とも進むこと、したがって、担い手農家における将来の規模はいっそう大きくなり、市町村によっては50~60ha台までの拡大も見込まれることを提示した。同時に技術開発課題として、大幅な省力化を促すために、直播稲作栽培のいっそうの技術的確立、及び転作作物の安定的生産を促す長期畑輪作体系の確立が要請されることを示した。 b) 北海道の牛乳生産費調査の個票組み替え集計を行い、放牧酪農経営と舎飼酪農経営の収益及び技術構造を比較した結果、放牧経営は生産資材投入や労働投入等が少なく流通飼料費や乳牛償却費をはじめとする購入及び償却費用等の生産費が低いために、舎飼経営と比べて乳量水準が低く粗収益が低いにもかかわらず、同水準の所得が確保されていることを明らかにした。 c) 大規模水田輪作等の多数の先進事例の技術・収益構造を解析し、今後の技術開発課題を摘出した。その結果、乾田直播水稲作では、均一な生育を確保するための均平、漏水防止、除草体系、適切な施肥管理(乾田化に伴う地力低下対策)を可能にする技術開発、大豆作では狭畦密植栽培に適合した多収新品種を導入した作付体系の確立、麦類作では施肥法の改善等により新品種の能力をさらに引き出す技術開発、作物切替え時期の作物残渣処理の技術開発等が必要なことを明らかにした。 水田作、畑作等に関わる先導的な生産技術体系の経営的評価に関しては、 a) 地域レベルの農産物供給モデルを構築するために、大規模な組織経営体による営農展開が志向されている地域を対象に担い手モデルの条件等を検討し、経営面積50~100ha、基幹労働力3~4人と十数人の補助者によって、水稲・ダイズ・施設園芸を基幹作目として、従事者の所得を経営目標として評価することが妥当であることを明らかにした。 b) 家計消費に占める中食・外食が占める比重が増す中で、米、コムギ、肉類の需要量の推計には年次変化の近似曲線による推計が、ダイズのように主に食品加工によって需要される農産物では、家計消費金額データ等から推計された年次間の変化率を用いた需要量の推計が有効であることを明らかにした。 c) 中山間地域の集落営農法人においては、主食用米が低価格で米の直接支払交付金削減の条件下では、主食用米作付を中止し、専用種を用いた稲発酵粗飼料(WCS)の作付や水稲作業と競合しない野菜の作付・加工の拡大により、法人の付加価値を維持・増加できることを営農計画モデルの分析により明らかにした。 d) 北海道の自給飼料を主原料にした大規模TMRセンターにおいては、概ねTMR供給頭数1,200頭で飼料作450haを下回る場合に、圃場分散の程度にかかわらずコントラクターへ作業委託を行う方が有利となることを営農計画モデルの分析により明らかにした。 e) 排水性等の条件の整った水田圃場でのデントコーン栽培の生産コストは、飼料用稲の2分の1以下で輸入粗飼料価格を下回る等を明らかにするとともに、水田飼料作経営が限られた労働力で経営の安定化を実現し、飼料増産を図るには、水稲の飼料化に加えて、排水性等の条件が整った圃場ではデントコーン等の導入が有効であることを、営農計画モデルの分析により明らかにした。 環境保全的視点を組み込んだ技術の経営評価手法の開発に関しては、南九州畑作経営を対象に、農場レベルで収益性と環境負荷の試算可能な営農計画モデルを構築し、サツマイモの持続的生産の可能な輪作体系の導入効果の評価を行った。その結果、ダイコン-サツマイモ畦連続使用栽培とサツマイモ-エンバク輪作の導入効果を評価すると、15ha規模の田畑複合経営では所得が14%増加し、農薬使用量、エネルギー消費量が減少することを明らかにした。 |
カテゴリ | 病害虫 加工 乾田直播 管理システム 経営管理 コスト コントラクター 施設園芸 省力化 除草 飼料用作物 新品種 水田 施肥 だいこん 中山間地域 地力維持対策 乳牛 農薬 排水性 輪作 輪作体系 |