課題名 | かび毒産生病害からの食品安全性確保技術の開発 |
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課題番号 | 2014025587 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
平八重一之 久城真代 |
協力分担関係 |
気象庁地球環境・海洋部機工情報課 長野県畜産試験場 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | ムギ類赤かび病に関しては、 a) 赤かび病抵抗性素材のコムギ品種・系統について、「フロンタナ」及び「農林61号」は、発病が進んでも菌体量当たりのかび毒量が変化しないことを前年度と同様に確認した。 b) コムギ主要6品種について、リアルタイムアメダス及び2週間先までの気温データをもとに開花期を予測し、予測した結果をウェブ上で公開するシステムを運用した。 c) コムギの発育予測モデルに関して、平年値(平均気温)に±3℃の気温のばらつきを与えることにより、気温の実測値をもとにした予測と誤差なく平年の開花期を予測できることを明らかにした。 d) コムギにおいて赤かび病菌感染後の濡れ時間の積算が150時間を超すと、濡れ時間に応じてデオキシニバレノール(DON)が蓄積することを明らかにした。 e) 2か年の圃場試験により、赤かび病菌汚染種子の播種は赤かび病の発生とかび毒蓄積へ影響しないことを明らかにした。 f) コムギにおけるゼアラレノン(ZEA)蓄積性検定法を開発するため、強病原性・高ZEA蓄積性の菌株を選定し、これを感染させた圃場栽培コムギについて、収穫適期10日後まで散水を継続するとZEA量、菌体量ともに顕著に増加すること、収穫適期5日前に散水を停止するとZEA量と菌体量が増加しないことを認めた。 トウモロコシ赤かび病に関しては、関東北部では、播種時期を遅くするとフモニシン(FUM)蓄積が低減することを認めた。また、トウモロコシ赤かび病菌として国内未登録のFusarium asiaticumを同定した。 かび毒の動態解明、分析法の高度化、毒性評価法の開発に関しては、 a) めん用上質粉を用いた製めん・ゆで調理工程において、ニバレノール(NIV)の含量変動並びにゆで汁への溶出を明らかにした。 b) 平成25年度に検出されたFUM由来の配糖体について構造解析を行い、FUMのアミノ基に糖が付加したN-(1-deoxy-D-fructosyl)-fumonisinであることを明らかにした。FUM B2、B3由来の配糖体に関しては新規化合物であることを確認した。 c) カルパインの特異的阻害剤が、DONによるヒト前骨髄球白血病細胞の培養細胞(HL60細胞)でのサイトカインMIP-1βの分泌誘導を緩和することと、これまでに明らかにしたDONがMIP-1αやMIP-1βの分泌を誘導すること、及びHsp90やカルパインがそれらの分泌誘導に関与することからDONの毒性評価法を開発した。 d) 単細胞緑藻Chlamydomonas reinhardtii におけるDON及びその誘導体の暴露による網羅的遺伝子発現解析の結果を基にしてカスタムアレイチップを作製し、有意な発現変化を示す遺伝子を絞り込んだ。また、DONの配糖体であるDON-3-グルコシド(DON3G)はストレス応答遺伝子及び糖代謝遺伝子をDONよりも強く誘導すること、特にSER3遺伝子で顕著に異なることを認めた。 |
カテゴリ | 抵抗性 とうもろこし 播種 評価法 品種 |