農業水利施設の効率的な構造機能診断及び性能照査手法の開発

課題名 農業水利施設の効率的な構造機能診断及び性能照査手法の開発
課題番号 2014025616
研究機関名 農業・食品産業技術総合研究機構
研究分担 中嶋勇
協力分担関係 トライボテックス(株)
ユニオン電子工業(株)
土木研究所
研究期間 2011-2015
年度 2014
摘要 構造物の性能低下を予測するための促進劣化試験法に関しては、平成23年度に完了した。
低コストで診断可能な非破壊調査法に関しては、
a) 3次元振動台を用いた模型実験を行い、地震計のダムにおける設置位置の選定や地震計による観測データの解析に有用となるフィルダムの堤体形状とダムの揺れとの関係を明らかにした。
b) ポンプ設備の軸受などの回転部から潤滑油やグリースを採取・分析して得られる情報をもとに、分解点検や補修時期の判断を支援する機器の摩耗などの劣化状態を診断する手法を開発した。
構造機能の性能照査法や設計法の開発に関しては、
a) 無機系被覆工の年間摩耗量を簡単に測定するための型どりゲージを用いた摩耗測定手法を開発し、現場にて再現性が高く安定した測定が可能であることを実証した。
b) 水路トンネルの破壊実験から、側方が拘束された水路トンネルでは、拘束なしの供試体と比較して、トンネルの内空変位量は小さく、ひび割れの発生密度は小さくなる。この結果は、側方の地盤状態を改良することにより水路トンネルの変状を抑制できる可能性を示す。
c) 無機系被覆水路の摩耗進行を±0.1mmの精度で測定可能な摩耗計測手法を開発した。この計測手法を用いて、栃木県真岡市の鬼怒川南部幹線水路(連続6スパン、延長72m)を対象に3年間の現地計測を行い、被覆工の年間平均摩耗量は側壁で0.2mm/年、底版で0.1mm/年であり、側壁の摩耗量は底版より大きいことを明らかにした。
d) 鉄筋コンクリート開水路の側壁の摩耗による断面欠損が進行すると、側壁の耐力は摩耗深さに比例して低下することを明らかにした。また、表面被覆工による断面欠損部の補修は、側壁の耐力を欠損前の耐力水準にほぼ回復させるが、表面被覆に浮きなどが発生している場合は、小さな変形で浮きの部分が剥離破壊することを示した。
e) 振動計測を実施する可動堰を選定し、ファイバーモデルによる数値解析を実施した。また、可動堰における振動計測手法及びデータ解析手法の確認のため、3成分振動計を耐震補強工事中の鉄筋コンクリート5階建て構造物の1階と屋上に設置し、振動記録の分析から構造物の卓越周波数を明らかにした。
f) 供用中のゴム堰(農林水産省:18か所、国土交通省:9か所、電力会社:2か所、その他:4か所)について現地調査及び管理者の聞き取りを実施した。その結果、ゴム堰のゴム袋体の損傷要因は、a)流下物の衝突、b)コンクリート躯体との摩擦、c)堆砂排除時の重機作業、d)ゴム袋体の耐久性不足の4パターンに分類できることを明らかにした。
施設の長寿命化のための新材料等を活用した高耐久性・低コスト補修工法に関しては、平成24年度に完了した。
維持管理にかかる意志決定手法に関しては、平成24年度に完了した。
ストックマネジメントの効果評価手法に関しては、
a) 携帯端末とインターネットを活用し、施設の状況分析(機能診断、LCC評価、更新時期の予測)及び地図とリンクした情報管理(施設写真による補修履歴等)を一体的に実施するシステムを開発し、高度な専門知識がない利用者でも施設の機能診断を可能とした。
b) 農業用揚排水機場の整備補修費のデータ分析を行い、揚排水機場の維持管理に必要なコストを予測する手法を開発した。
c) 「農業水利施設の機能保全の手引き(農林水産省、2007)」の施設状態評価表に基づき、劣化の支配的な要因が明らかにできる定量的な施設状態評価指標を提案した。
カテゴリ 管理技術 コスト ストック 低コスト 水管理

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる