課題名 | 災害リスクを考慮した農業水利施設の長期安全対策技術の開発 |
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課題番号 | 2014025619 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
田頭秀和 |
協力分担関係 |
竹中土木 公益財団法人鉄道総合技術研究所 ㈱複合技術研究所 丸栄コンクリート 技研興業 前田工繊 岡三リビック(株) |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 影響度評価を導入した照査手法の開発に関しては、 a) 堤防の地震・津波に対する減災対策技術として、ジオテキスタイルを連結した新たに開発したプレキャストコンクリートブロックを主要部材とし、越流した津波による抗力や揚力及び地震動に対して粘り強く抵抗する三面一体化構造を有した強靭な堤防を開発した。 b) 豪雨によるため池の決壊に対する減災対策技術として、豪雨時のため池の貯水位予測システムを開発し、豪雨による貯水位の上昇量及び決壊を防止するために豪雨前に事前放流で達成する必要がある貯水位低下量を、簡単な現地調査や気象庁の予測雨量から算定することを可能とした。 c) ため池の耐震照査と減災対策に不可欠な地盤強度の調査を簡便かつ低コストで実施するために、同一深度で繰り返し原位置せん断が可能な「多段式原位置回転せん断試験機」と、同試験機と試験孔掘削機を一体化した実用的な原位置試験機の開発を行い、模型実験及び現地試験で十分な適用性を確認した。 d) 農業用パイプラインの減災対策技術のひとつである更生管の耐荷能力を検証するため、内水圧負荷による更生管の変形挙動を模型実験で明らかにした。 e) ため池や農業用パイプライン等の耐震照査と減災対策に活用できる技術として、初期せん断が作用した状態での土の地震時強度低下特性を室内土質試験によって明らかにし、液状化を防止するための細粒分を含む土の管理方法を提案した。 f) フィルダムの耐震照査の信頼性向上のため、地震動がフィルダムに与える影響を地震観測記録に基づいて監視する技術を開発し、地震波干渉法の適用により、ダムの地震波伝播速度や減衰特性の地震による変化を特殊な計器を用いずに地震観測記録から評価することを可能とした。 g) フィルダムの耐震・減災対策の向上のため、模型実験の画像解析によって地震時のダム堤体内の変状分布の進行形態を把握し、数値解析のパラメータスタディによって、最大減衰定数が変位分布形状やせん断応力分布に大きく影響することを明らかにした。 農村地域に広がる施設群全体のリスク評価技術に関しては、 a) ため池の洪水流出モデルを高精度化する上で不可欠な貯水池の短期流出(直接流出)について分析し、洪水流出は早い表層流による直接流出が主体であることを現地調査に基づいて明らかにするとともに、モデル地区を対象にため池の直接流出の支配面積を算出した。 b) 農業水利施設群の脆弱性評価に基づく災害リスク低減手法を開発するため、個別施設の地震時の復旧日数の算定手法及び個別施設の機能喪失が全体の用水機能に及ぼす影響度の算定手法を開発した。 c) 基盤整備や社会資源の整備の地域住民満足度への寄与度を個人レベルと地域レベルでそれぞれ定量的に評価できるウェブアプリケーションを開発した。 |
カテゴリ | 管理技術 低コスト 評価法 水管理 |