課題名 | 農用地の生産機能の強化技術及び保全管理技術の開発 |
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課題番号 | 2014025621 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究分担 |
宮本輝仁 中尾誠司 |
協力分担関係 |
福井県坂井農林総合事務所 九頭竜川下流農業水利事業所 三重大学 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2014 |
摘要 | 農地からの環境負荷削減技術及び農地の排水性向上技術に関しては、 a) 暗渠排水口に立ち上げ管を取り付けた硝酸態窒素流出負荷削減対策では、立ち上げ管取り付けにより暗渠排水量は約3割減少し、硝酸態窒素の流出負荷量を約4割削減できた。また、農地基盤中の塩分濃度を連続的に監視する簡易技術を開発した。 b) 保水力向上のための炭化物投入量推定手法の現地適用性の検討に関しては、福井県三里浜砂丘地の現地圃場において、必要投入量を施用した炭化物施用区では無施用区と比較して土壌水分が高く保たれることを実証した。また、木質系バイオマスを原料として高温域で生成される炭化物が、保肥性向上に有効であることを明らかにした。 c) 高機能型基盤整備を促進する合意形成手法の開発に関しては、地権者が出資者となって集落営農組織を法人化することや集落内の農地集積を進めることが、スムーズな合意形成に繋がることを明らかにした。 耕作放棄地を草地として有効利用する技術に関しては、 a) 耕作放棄棚田跡地の放牧利用では、湧水や水路機能の喪失による泥濘化や圃場基盤の崩壊・侵食が問題であり、湧水処理や水路機能の保全を図る上で、明渠整備、水路部への家畜侵入防止及び適切な飲水施設整備などが有効な改善策であることを明らかにした。 b) スラリーや堆肥と化学肥料を組み合わせて管理した永年草地からの温室効果ガスの排出量は施用有機物の種類によらず同等であることや、これまで知見の乏しかった放牧地における一酸化二窒素の排出係数(糞:0.024%、尿:0.684%)を明らかにした。また、牛糞堆肥の適切な連用が、採草地の生産性の維持と炭素収支の改善に繋がることを明らかにした。 耕作放棄地再生手法に関しては、 a) 茨城県、新潟県、奈良県での現地調査から、耕作放棄地再生には傾斜度、排水条件、区画面積等の農地基盤の改善に加えて担い手の育成という社会的条件の改善が必要であり、地域内のリーダーの発掘とリーダーが主体的役割を果たせる環境整備において重要であることを明らかにした。 b) 現地実証型の調査をもとに、遊休農地の有効活用のための産消提携型農業の導入においては、新規就農者の農地の確保と多品目の栽培技術が必要であることを明らかにした。また、アンケート調査をもとに、都市圏で暮らす高齢非農家住民の農作業参加行動とそれに影響を与える諸要因との関係を明らかにした。 c) 雑草抑制に用いる刈り敷の材料として、耕作放棄地のヨモギなどの広葉植物が利用されていることから、刈り敷技術が農地保全促進技術として活用できることを明らかにした。 d) 営農を多角化して地域資源を活用するためには、合意形成や労働力確保の他、作付け自由度の向上のための排水性の強化が有効であることをアンケート調査や聞き取り調査により明らかにした。 |
カテゴリ | 肥料 病害虫 管理技術 栽培技術 雑草 排水性 よもぎ |