④ 植物の耐虫性と害虫の加害性の分子機構の解明

課題名 ④ 植物の耐虫性と害虫の加害性の分子機構の解明
課題番号 2014025643
研究機関名 農業生物資源研究所
研究分担 門野啓子
今野 浩太郎
井上 尚
長谷川 毅
田村 泰盛
木原 眞実
松本 由記子
小林 徹也
協力分担関係 名古屋大学
九州大学
研究期間 2011-2015
年度 2014
摘要 1. インド型イネ品種由来のトビイロウンカ抵抗性遺伝子BPH26の配列と機能を解析した。BPH26は、NBS-LRR構造を保有するタンパク質をコードしていた。BPH26タンパク質は、イネのいもち病抵抗性遺伝子と類似のタンパク質であったことから、イネの病害抵抗性タンパク質と同様、直接トビイロウンカの吸汁を阻害しているのではなく、トビイロウンカの加害シグナルを認識して防御を誘導する機能を持つと予想された。これらの成果を論文にまとめ、記者発表も行った。
2. トビイロウンカやツマグロヨコバイは凝固性唾液と漿液性唾液を植物体内に吐出し、篩管液の吸汁を成立させている。しかし唾液成分の機能はほとんどわかっていない。ツマグロヨコバイ唾腺のRNA-seqを行ったところ、高発現の分泌性タンパク質と予測されたコンティグのほとんどが唾腺特異的に発現しており、その多くが機能未知である。これらの機能解析にRNAiやゲノム編集が有効であると期待され、今年度はParental RNAiを試みた。コントロールEGFP dsRNA (300 ng/μl)を注射した場合はその幼虫に特に変化は見られず、幼虫の79.3%は正常に脱皮して2齢幼虫になった。一方、ツマグロヨコバイラッカーゼ2(NcLac2) dsRNA (300 ng/μl)を注射したメス24頭のうち、22頭から生まれた578個体は1齢幼虫の間にすべて死亡した。また、これら幼虫のうちの多くには体表の色素が見られず、1齢幼虫でのNcLac2の発現量はコントロールの11.8%に低下していた。このことからNcLac2には他の昆虫のラッカーゼ2と同様の機能(表皮の黒化・硬化)があることが示された。注射後4-14日目まで産卵を継続させたがParental RNAiの効果も継続した。タンパク質側からの解析では、昨年度トビイロウンカ口針鞘を溶解し、SDS-PAGEで分離したいくつかのバンドについてLC-MS/MS解析を行った。今年度はその物性が大きく異なるため、タンパク質成分も異なっていると期待されるツマグロヨコバイの口針鞘の溶解を試み、タンパク質の解析可能な可溶化条件を決定した。
3. トビイロウンカの加害性バイオタイプの適応機構の解明では、ポジショナルクローニングを行っている。Bph1加害性遺伝子vBph1は、新たに作製したRADseqによるSNPマーカーにより候補領域をさらに絞り込んだ。ツマグロヨコバイでは、唾腺タンパク質のアミノ酸配列から、加害性バイオタイプに特異的な置換、挿入、塩基の欠失によるフレームシフトなどが見つかり、これらの中に加害性の候補遺伝子が含まれている可能性がある。
4. シュウ酸カルシウム針状結晶による耐虫物質の相乗的な増強効果を、今年度は、多くの植物に含まれているキチナーゼについて検討し、相乗的な耐虫効果を持つことを明らかにした。
5. ダイズが持つハスモンヨトウ抵抗性遺伝子の抵抗性付与機構解明のために、ダイズ葉の毛茸に注目し、毛茸の生える角度を比較した。2つの抵抗性遺伝子CCW-1, CCW-2をもつ「ヒメシラズ」には大きな差が見られ、角度にはばらつきがあり、ほぼ直角に立ち上がる毛茸が多かったが、CCW-1,2を持つと言われる「フクミノリ」は、感受性の「フクユタカ」と差がなく、葉面とほぼ平行に生えていることが明らかとなり、その他のNILでも同様であった。しかしNILの中には、ハスモンヨトウの体重増加を抑え、抵抗性を示す区があったことから、毛茸の角度は抵抗性にはほとんど寄与していないと考えられた。
カテゴリ いもち病 害虫 大豆 抵抗性 抵抗性遺伝子 病害抵抗性 品種

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