課題名 |
1牧草新品種育成試験、(5) チモシーの地下茎型イネ科雑草に対する競合力の効果的選抜方法の解明 |
研究機関名 |
地方独立行政法人北海道立総合研究機構農業研究本部北見農業試験場
|
研究分担 |
研究部作物育種グループ
|
研究期間 |
完 平成26年 |
年度 |
2014 |
摘要 |
a試験目的:(a) 地下茎型イネ科雑草との混作(競合)および単作(無競合)の栽培条件下における生育特性の解析から競合力の効果的な選抜方法を明らかにする。(b) 地下茎型イネ科雑草のアレロパシーに対する品種・系統の感応程度を明らかにする。、 b試験方法:(a) 試験場所は、畜産試験場(シバムギ(QG)混作またはリードカナリーグラス(RCG)混作の2つの競合条件)、北見農業試験場(無競合条件)。供試材料は、収量等に変異の大きい中生の20栄養系。栽植様式は、個体植(0.60m×0.75m)、乱塊法、2反復とし、2012年6月に移植した。調査項目は、乾物収量等の農業形質と栄養価形質。(b) 供試材料は、北海道優良品種、ならびに(a)試験で供試する栄養系の後代系統。試験は、①QGとRCGの水抽出液(地上部と地下部を込みにした雑草2gに蒸留水60mlで抽出後、2倍希釈)を用いた発芽試験、②プラントボックス(PB)法(地下部からの滲出物の作用を検出する方法、QGとRCGをPBの一隅に置いて寒天を満たし培養)の2試験。5日目に発芽率、根長、地上部長を調査。いずれも、対照区を含め処理は3反復。、 c成績の概要:(a) 競合区の供試栄養系の乾物重平均値の無競合区比は、QG競合条件では2年目2番草の時点で34%まで低下し、RCG競合条件ではさらに低下程度が著しく、2年目1番草の時点で22%となった。一方、2か年合計乾物重のQGおよびRCG競合条件間の相関は強く(r = 0.81***)、また雑草競合条件の1、2番草収穫時の草勢、1、2番草収穫後の再生草勢は、2か年合計乾物重と相関が強かった(r = 0.82***~0.97***)。したがって、抑圧が小さく、調査が簡便なQG競合条件の評価のみでも、また草勢調査で、競合力の評価は可能と考えられた。両競合条件の2か年合計乾物重と中程度以上の相関を示した無競合条件の形質として、早春草勢、出穂始、1番草の草勢および出穂程度、2番草の節間伸長茎割合、草勢、草丈および草高が認められた。無競合条件の調査形質を説明変数、競合条件の2か年合計乾物重を目的変数とする重回帰分析では、QG競合条件で1番草の出穂程度、草型および2番草節間伸長茎割合が、RCG競合条件で1番草の茎数密度および出穂程度が有意となった(回帰式は有意で、R2は0.58~0.65)。無競合条件の調査形質を用いて、競合条件の収量性で群別した上位群、中位群、下位群の正準判別分析では、モデルは0.1%水準で有意となり、1番草茎数密度と2番草節間伸長茎割合が選択された。したがって、無競合条件からの間接選抜は、地下茎型イネ科雑草に対する競合力の改良にとって一定程度有効であると考えられた。、 (b) 発芽試験では、品種によっては根長または地上部長で対照区と有意差が認められた。発芽試験の地上部長、PB法の根長のアレロパシー活性において、対照区反復平均に対する比で有意な品種間差が認められた。また、発芽試験とPB法では品種間の序列の傾向が異なった。これは、主に前者が地上部と地下部を含む雑草の水抽出液によるのに対し、後者が地下部からの滲出物の作用によるためと考えられた。、、
|
カテゴリ |
病害虫
栽培条件
雑草
新品種育成
品種
|