課題名 |
津波被災農地における地力回復と高品質米の安定生育のための地力増進作物導入技術の確立 |
研究機関名 |
宮城県古川農業試験場
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研究分担 |
土壌肥料部
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研究期間 |
継H23~27 |
年度 |
2014 |
摘要 |
<目的>、東日本大震災の津波により浸水被害をうけた農地の復旧が進められているが,除塩後のほ場においては工事による地力の低下が懸念される。厩肥等資材が少ない沿岸地域では,地力回復のための緑肥等地力増進作物の導入が有効と考えられる。しかし,緑肥作物の導入については,県としての明確な技術的な指針がなく,特に水稲での導入においては,栽培上の問題や品質低下のリスクなどの課題があり,農地の実態把握を行い,被災農地の地力増進を目的とした緑肥-水稲体系による肥培管理技術の本県指針を明らかにする。 <成果>、 津波被災農地の地力を把握するために,培養法による培養期間の短縮化や乾熱後無機態窒素量について検討した。生土30℃4週間培養窒素量と8週間培養窒素量は相関が高いので,4週間培養から8週間培養値の予測が可能である。ただし,採土時期が異なると適合性が劣った。また,風乾土の乾熱後アンモニウム態窒素量は窒素肥沃度診断に有効と考えられ,さらに検証が必要である。、 古川農試場内ほ場でイタリアンライグラスおよびヘアリーベッチを水稲の裏作として播種したところ,緑肥の生育期間が短かったため,イタリアンライグラス及びヘアリーベッチは十分な生育量は少なかった。しかし,イタリアンライグラスを連用した区で水稲を栽培したところ,葉色値が高く維持され,無播種に比較し収量が増加した。、 東松島市津波被災ほ場において,イタリアンライグラス,ヘアリーベッチを稲作前年の10月に散播し,イタリアンライグラス区,ヘアリーベッチ区,混播区(イタリアン:ヘアリー=1:1),無播種区を設定したところ,混播区およびイタリアン区は,イタリアンライグラスの生育量が確保された。両区ともすき込まれた緑肥からは窒素が供給されたため,水稲作において無播種区よりも窒素吸収量が多かった。このことにより,両区とも茎数が多く葉色が維持され,籾数が多くなり増収となったと推察した。一方,ヘアリー区は,ヘアリーベッチの生育が遅くすき込みまでの期間に生育量を確保できなかった。このことから,水稲生育は無播種区と同等以下となり,収量も無播種区並となった。、
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カテゴリ |
イタリアンライグラス
水稲
播種
肥培管理
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