課題名 | 地下水位制御システムを用いた水管理による玄米中ヒ素・カドミウム同時低減法の開発 |
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課題番号 | 2014027655 |
研究機関名 |
(独)農業環境技術研究所 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター |
研究期間 | 2013-2017 |
年度 | 2014 |
摘要 | 本課題では、地下水位制御システムを利用して、イネの出穂期前後の水管理の違いが玄米中のヒ素およびカドミウム濃度に与える影響を解明し、ヒ素・カドミウム同時低減に最適な水管理法を開発することを目的とする。今年度は、中干し1週間延長の有無と出穂1週間後の早期落水の有無を組み合わせた4区を設定して、中干し延長や早期落水が収量・品質、玄米中ヒ素およびカドミウム濃度、土壌Eh(酸化還元電位)、体積含水率、土壌溶液のpHやヒ素・カドミウム濃度に与える影響を調査した。その結果、移植後に生育停滞が見られたが、硫安施用により回復したため、硫黄欠乏と考えられた。その後の生育は良好であり、精玄米重と玄米千粒重は地域平均並みとなった。精玄米重は中干し延長によって、玄米千粒重は早期落水によってそれぞれ高まったが、品質は中干し延長や早期落水に影響されなかった。また、玄米中総ヒ素濃度に対する形態別ヒ素総量の比は中干し延長や早期落水によって低下し、玄米中カドミウム濃度は逆に高まることを明らかにした。一方、圃場の排水性が不良のため、土壌Ehや体積含水率に中干し延長や早期落水による影響が見られなかったが、土壌溶液のpHやヒ素濃度は中干し延長や早期落水によって低下した。土壌溶液のカドミウム濃度は非常に低く推移し、中干し延長や早期落水に影響されなかった。したがって、玄米中総ヒ素濃度に対する形態別ヒ素総量の比は土壌溶液のヒ素濃度と対応していると考えられたが、玄米中カドミウム濃度と土壌溶液のカドミウム濃度との関係は認められなかった。今年度の試験では、圃場の排水性が不良のため、中干し延長や早期落水の影響がやや不明瞭となったが、出穂3週間後過ぎに排水口の改良を施し、排水性を改善したところ、土壌Ehの上昇と体積含水率の低下が明確になったので、次年度は中干し延長や早期落水の影響について引き続き調査する予定である。 |
カテゴリ | 排水性 水管理 |