(ウ)水産資源の合理的利用技術の開発

課題名 (ウ)水産資源の合理的利用技術の開発
課題番号 2015027937
研究機関名 水産総合研究センター
研究期間 2011-2015
年度 2015
摘要 ・安定同位体分析による生態系構造に関する知見などを用いて、はえ縄漁業における生態学的リスク評価を実施し、アホ ウドリ類ではクロアシアホウドリ、海亀類ではアカウミガメが他種に比べリスクが高いことを明らかにし、漁業によって生態学的に影響を受けやすい種を特定した。中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)など地域漁業管理機関で求められている混獲データの収集・整 理と提出、海鳥類、海亀類の混獲実態の把握、ホットスポットや混獲条件の特定、混獲削減、混獲影響査定に必要となる調査とデータ解析を実施した。
・海鳥類、海亀類の混獲に対して様々な回避技術の開発やその有効性を検討するための試験研究を行った。地域漁業管理機関の保存管理措置に挙げられている海鳥や海亀の回避技術を我が国のまぐろはえ縄漁船に適合させるための高度化、実用化試験を行った。各水域における混獲生物の資源評価における基礎的知見の収集のため、分布目視、食性、栄養状態、漁業との競合関係、混獲発生メカニズム、混獲回避措置に対する行動を把握するための試験研究や情報収集を行った。沿岸漁業における混獲問題への普及啓発活動等を行った。
・大型サンマ棒受網漁船用船10 隻により、自船での凍結製品の効率的生産を実証し、さらにロシア加工船への転載技術開発と洋上売 魚の実証に取り組んだ。これにより公海サンマ漁業の企業化における採算性確保の実現が可能であることを示した。残された技術的課題は現場で解決可能な事項として整理し、業界及びロシア側に提示した。
・以西底びき網漁業について調査を継続してデータを収集し、キダイ・イボダイ・アカムツの分布特性に経年変化は認められないことを明らかにした。網地の使用量を削減して安価に作れるよう改良した低抵抗網を試験した結果、約20%の抵抗削減を達成しつつ、漁獲性能は遜色ないことを確認した。
・日本海北部の底びき網においては、平成26 年度に完成した改良網が、春のアカガレイ漁期に加え、秋のニギス漁期でも有効である ことを示し、季節・主対象によって改良網での操業を組み込むことが経営的にも有効であることを実証した。また、改良網により漁獲したカレイ類の鮮度がよいことを示すとともに、さらなる網の性能の向上・安定のため漁具改良を進めた。
・定置網クラゲ類排出装置の試験を実施したが、今年度はクラゲ類の大量入網が確認されなかったので、本装置についてはさらなる評価試験を京都府の事業でも行うこととした。漁獲物の船上選別装置は、簡単な構造で誤選別がほとんどなく、帰港後の作業時間の短縮率26%以上を実現する良好な結果を得た。定置網の共通課題である多様なサイズの漁獲物の効率的選別を、安価に実現する本装置は広範な普及が期待される。
・本研究課題の成果は、混獲防止等の生態系への負荷軽減に資するとともに、適正な資源管理と漁業の合理化に貢献した。今後は、新たな技術の創出や既存技術の改良により、さらなる漁業の適正化、効率化が期待される。
カテゴリ 加工 管理技術 経営管理

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