(カ)生態系における有害化学物質等の動態解明と影響評価手法の高度化及び除去技術の開発

課題名 (カ)生態系における有害化学物質等の動態解明と影響評価手法の高度化及び除去技術の開発
課題番号 2015027944
研究機関名 水産総合研究センター
研究期間 2011-2015
年度 2015
摘要 ・沿岸域で検出される主要な多環芳香族化合物(PAHs)であるナフタレン、フェナントレン、ピレン及びクリセンを複合 添加した海水でマコガレイを飼育する蓄積試験を行い、海水からの生物濃縮係数を明らかにした。平成26 年度までに得られた餌から の濃縮係数と合わせて、広島湾の海水及び餌生物中濃度からマコガレイの体内濃度をほぼ推定することが可能となった。これらの結果から、マコガレイ体内に蓄積するPAHs の大部分が海水に由来することなど、底生魚へのPAHs の蓄積特性を解明した。
・引き続き各地のPAHs 測定を行うとともに、得られたデータについてブートストラップ法を用い90 パーセンタイル値及びその信頼区間を計算して予測環境中濃度を得る等、予測環境中濃度算出法の高度化を図り、環境中でのPAHs の動態を明らかにした。
・アマモを用いて異なる作用機序を持つ2 種の除草剤(イルガロール、プレチラクロール)の暴露試験により、曝露する物質の作用機序が異なると代謝物の変動傾向も異なることを解明し、代謝物総体解析の新たな影響評価手法としての可能性を示した。底質抽出液から検出された各物質については、既存のデータベースより得られた最小の毒性値を用いて底質抽出液の毒性を推定し、26年度までに確立した底質からの化学物質抽出法や毒性の推定法等とあわせて「有害化学物質による底質汚染状況の総合評価手法」として取りまとめるなど、影響評価手法を高度化した。マコガレイ、マダイ及びマミチョグのフェナントレンに対する感受性の差異を明らかにした。クロアワビはベリジャー幼生期にポリカーバメート(PC)に対して極めて感受性が高いことや、低栄養条件下における鞭毛藻2 種及び珪藻1 種の混合培養系ではPC 曝露濃度依存的に珪藻細胞数/鞭毛藻細胞数の細胞数比が減少すること、ネオニコチノイド系の農薬3 種 の海産生物に対する毒性を解明するとともに、沿岸生態系及び水産生物に対する有害化学物質の総合的な影響評価を実施した。
・汚染耐性及び有害物質削減能に優れた小型環形動物の海産ミミズと底質攪拌能力の高い大型環形動物のカタマガリギボシイソメを混合した底質浄化試験により効果的な環境改善効果を確認し、気仙沼湾における現場実証試験によりその効果を実証した。環形動物の海産ミミズ、甲殻類のコノハエビ、及び魚類のアベハゼについて、トリブチルスズ及びフェナントレン分解能を比較するとともに、海産ミミズによる底質浄化には周辺あるいは体内の微生物群が必要不可欠であることを明らかにするなど、生物による有害物質除去の機構解明を進めた。
・漁網防汚剤ポリカーバメートの様々な海産生物に対する毒性値は、化審法審査支援等検討会において、当該物質の生態リスク評価における予測無影響濃度算出に利用された。本研究課題の成果は、現場データ及び有害化学物質の影響評価知見等の集積に基づいた国等による化学物質の環境基準策定への貢献、汚染された環境の修復策の提言等に繋がることが期待される。
カテゴリ 病害虫 くり 除草剤 データベース 農薬

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