(エ)その他の基礎的・基盤的な研究開発並びに他分野技術の水産業への応用

課題名 (エ)その他の基礎的・基盤的な研究開発並びに他分野技術の水産業への応用
課題番号 2015027955
研究機関名 水産総合研究センター
協力分担関係 東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター
岩手県水産技術センター・増養殖部
福島県内水面水産試験場
研究期間 2011-2015
年度 2015
摘要 ・東日本大震災後の水産業の復興に係る各種事業を推進した。東北地方のアマモ場の回復状況の把握やその機能評価を実 施するとともに干潟造成による漁場機能回復効果を把握し、油分汚染海域の環境改善や付着生物等の問題が生じる養殖海域での効率的漁場利用に関する技術開発を進めた。岩手県を対象に、親潮系動物プランクトンの増加に合わせたサケ稚魚の早期放流の効果や海面生け簀での馴致効果など、サケ稚魚の放流技術の高度化につながる成果を得た。開発した海産親魚からの採卵技術を12 月に適用した場 合には90%程度の発眼率が得られ、現場導入が可能なレベルであることを確認した。また、ワカメの自動間引き装置と刈り取り装置を 開発し、作業の効率化を確認した。スルメイカの高鮮度出荷を実施し、漁業者収益のアップが見込まれることを確認した。産地の加工場にサンマ脂肪別選別装置を設置し、脂肪別選別による鮮魚のブランド化や加工品の高品質化を目指した実証試験を実施した。岩手県3 地区の加工場に通電加熱装置を導入し、加工品の販売実証を行った。宮城県のギンザケ養殖では、低
コスト餌料を使用することにより粗利益が通常飼料に比べて1.4倍となることを確認した。活け締め作業の効率化のため、活け締め前 の魚の沈静化用電気ダモ(?網)システムを開発し、作業効率が1.4 倍程度向上した。養殖被害の大きいビブリオ病については市販ワ クチンの効果的な使用法を明らかにし、赤血球封入体症候群(EIBS 病)についてはワクチンを開発した。高成長系統ギンザケについ て、低密度飼育により通常採卵年級より早期に採卵可能であることを明らかにした。貝類養殖課題については、樹脂製採苗器による採苗技術と効率的選別機等の組み合わせにより良質な天然一粒種苗の大量確保に成功し、養殖実証地域を拡大できた。平成26 年から養 殖してきた 未産卵一粒カキの試食会や試験販売を実施し、アンケート調査で飲食店や消費者の評価を受けた。潮間帯干出カキの増産 に向けた施設拡大とともに普及に向けたコスト削減が進展した。
・常磐周辺海域における底魚資源管理のため、移動を考慮した年齢構成モデル等を開発して漁獲制御による資源保全効果の評価を可能とするとともに、漁獲努力量の違いによるヒラメ等底魚類の資源量への影響評価と将来予測を試行した。
・東京電力福島第一原子力発電所事故への対応として、福島沿岸域、仙台湾において採取した海洋環境試料と海産生物の放射性物質濃度の測定等により環境中の放射性物質の分布の変化と減衰を詳細にモニタリングした。マダラ、ヒラメについては、能動的な移動(深浅移動・南北 移動)と放射性物質濃度の高い魚の出現の関係を検討した。魚及び餌料生物を高い放射性セシウム環境下で飼育し、そ の取込、排出過程を定量的に把握した。福島沖での海底境界層観測を継続し、放射性物質動態モデルの高度化を進めた。内水面では、福島県内の湖沼と河川 及び中禅寺湖において、環境水、底泥、魚類、餌料生物の放射性セシウム汚染状況の実態把握を進めた。また 、放射性ストロンチウムの測定手法を確立し、様々な水産物の測定を開始した。
・放射能の風評被害の影響の解析、事故後のセシウム濃度の多量な蓄積データの 管理のためデータベース整備を推進するとともに、 データ解析によって水産生物の放射性物質汚染の動向の予測を行った。これまでの調査研究を総括して叢書2 冊及び一般向けパンフレットとして公表した。福島県沖の漁業再開に向けては、風評被害軽減対策、希に濃度の高い魚介類の出現する機構の科学的な解明、汚染水対策の一環としてのトリチウム分析体制の構築などをさらに推進すること、改善が遅れている内水面の魚類に関しては、継続的なモニタリングと汚染持続機構の解明などに引き続き取り組むことを課題として整理した。
・東日本大震災後の水産業の復興に係る各種事業に取り組み、岩手県課題でのサケの海産親魚からの採卵による種卵確保技術や宮城県課題でのマガキの安定採苗技術など復興に資する技術開発と実証試験を実施し、成果の水産現場への展開を推進した。常磐海域を対象に開発した底魚資源管理のための資源評価手法とその計算結果を、同海域において原発事故による操業自粛で増加した底魚資源に関する福島県による管理方法の検討に受け渡した。福島県周辺の水圏生態系における放射性物質のモニタリング結果と放射性物質の動態に関する解析結果を水産生物の放射能汚染の現状把握および動向予測に活用するとともに放射能測定データのデータベース化を推進した。さらに、放射能研究成果をオープンアクセスの英文叢書と和文叢書及び一般向けのパンフレットとして公表し、放射能の水産生物への影響の正確な理解の普及に努めた。これらの成果は被災地の復興及び放射能に関する風評被害軽減への活用が期待される。
カテゴリ 加工 コスト 出荷調整 データベース 低コスト 風評 モニタリング

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