課題名 | 農産物の生産段階におけるカドミウムのリスク低減技術の開発 |
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課題番号 | 2015027848 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
協力分担関係 |
三菱マテリアル環境技術研究所 井関農機 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | 野菜等の資材施用法等による実用的なカドミウム吸収抑制技術に関しては、 a) アパタイト系資材の施用によるホウレンソウ可食部のカドミウム濃度の低減効果は、カドミウム濃度の異なる6種類の土壌を供試したポット試験により、低地土や非アロフェン質黒ボク土といった土壌に関わらず、少なくとも2年間持続することを明らかにした。 b) ホウレンソウのポット栽培試験から、夏作ではアパタイト系資材施用により地上部カドミウム濃度は低減したが、収穫前低温処理 と組み合わせても効果は高まらなかった。冬作では寒締めによりカドミウム濃度が低減しやすい品種が存在し、寒締めと低吸収性品種の組み合わせによる低減効果は最大5割であったため、実用性が高いことを明らかにした。 c) ホウレンソウ5品種を用いたポット栽培試験から、アカマツ樹皮資材の施用は消石灰施用よりも可食部カドミウム濃度が低減し、新鮮重は高まったことから、消石灰よりも実用性が高いことを明らかにした。 d) 現地水田圃場における炭酸カルシウム多量施用(粉状3t/10a)後の3年目の水稲の生育は無施用と差がなく、玄米中カドミウム濃度は4割程度低減し、多量施用の効果は3年間持続したため、実用性があることを明らかにした。 e) ホウレンソウ栽培におけるセル成型苗移植や炭酸カルシウム施用によって可食部カドミウム濃度が低減し、これらを組み合わせる と、さらに低減効果が向上したことから、ホウレンソウの可食部カドミウム濃度低減法として提示した。 ダイズ等のカドミウム濃度を低減できる技術体系に関しては、 a) 現地水田転換畑において、土壌のpHを6.5とし、全面施用の苦土石灰量の50%をうね内に部分施用するとともに、カドミウム低吸収性ダイズ品種を用いる技術体系により、収量を低下させることなく、子実カドミウム濃度を4割程度低減し、数値目標を達成した。 b) ハウスにおける冬作ホウレンソウの寒締めによる収穫前2週間の低温処理と低吸収性品種の組み合わせによって、カドミウム濃度の低減効果がさらに高まったことから、冬作ホウレンソウの実用的な低減技術体系であることを示した。 このほか、 a) 高カドミウム土壌でピーマンを栽培した場合に可食部カドミウム濃度が国際基準値(0.05mg/kg)を超える場合があるが、台木用ピーマン品種「台助」に接木すると、可食部カドミウム濃度が低下することを明らかにした。 |
カテゴリ | 水田 台木 大豆 ピーマン 品種 ほうれんそう |