課題名 | 農業水利施設の効率的な構造機能診断及び性能照査手法の開発 |
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課題番号 | 2015027876 |
研究機関名 |
農業・食品産業技術総合研究機構 |
協力分担関係 |
土木研究所 |
研究期間 | 2011-2015 |
年度 | 2015 |
摘要 | 構造物の性能低下を予測するための促進劣化試験法の開発に関しては、平成23年度に完了した。 目視による診断が困難な重要構造物を低コストで診断可能な非破壊調査法(継続的な計測により性能低下を早期発見するセンサ技術等)に関しては、 a) 3次元振動台を用いた振動模型実験の解析より、農業用ダムの安全性を二次元モデルで評価する場合には、ダム基盤の谷部となる最深部をとおる断面を設定する必要があることを明らかにした。 b) 材料条件及び境界条件を多数変化させたダムの地震応答解析を実施し、ダムの地震応答解析の精度を確保するために最適な地盤解 析領域の大きさや境界条件を明らかにした。 c) 無機系被覆水路の摩耗進行の評価法として、被覆工の年間摩耗量をホームセンタ等で入手可能な器具を用いて専門的な知識が無く ても簡易に測定できる摩耗測定手法を開発し、現地実証試験によりその有効性を確認した。 d) 無機系被覆工の付着強度試験の標準化を目的に、試験時のカッターの切り込み深と付着強度の関係を新たに開発した引張試験装置 により求め、その結果、付着試験値への影響が小さくかつ作業が容易な切り込み深さが2~5mm程度であることを明らかにした。 e) ひび割れの生じた水路トンネルの評価・診断のため「水路トンネルの無人調査ロボット」の現地調査箇所を増やし、調査の信頼性 及び機器の改良を行った。 信頼性解析等に基づく構造機能(安定性、耐久性等)の性能照査法や設計法を開発では、 a) 開水路を対象に、摩耗劣化及び中性化劣化の評価から対策までの手順を策定した。さらに、摩耗及び中性化劣化の評価に必要な測 定手法を開発した。 b) 頭首工堰柱の動的特性の変化を地震及び常時微動計測から求める手法を開発した。 施設の長寿命化のための新材料等を活用した高耐久性・低コスト補修工法を開発では、 a) 水路トンネル内でも可能な炭素繊維グリッドを用いた補強工法の有効性を検証するために、無筋コンクリート梁を用いた載荷実験 を行ったところ、補強後の梁は無補強の梁に比較して耐力が3倍以上、変形量が10倍以上となり、十分な補強効果を有することを明ら かにした。 b) 施工が簡単で持続的に漏水を防止し、従来の技術に比べて低コストで労力のかからない小規模コンクリート水路の漏水補修テープ を開発した。 維持管理にかかる意志決定手法に関しては、平成24年度に完了した。 ストックマネジメントの効果評価手法に関しては、 a) 予算及び技術者の不足から施設の機能保全計画の立案が困難な土地改良区、市町村の支援を目的に、現地で簡易に施設の劣化情報 を入力して、そのデータをもとに施設の簡易機能診断とLCC評価を実施する総合評価手法を開発し、現地適用が可能な総合評価システ ムを試作した。 b) 農業用揚排水機場の機能保全計画を作成する際に、それまでに記録された機場の補修履歴の特性を用いて補修コストを簡易に予測 する手法を開発した。この手法により、行政部局で従来行われてきた機場の部位ごとに対策費用を積み上げる作業に要する労力・コストを大幅に軽減することができる。 |
カテゴリ | 管理技術 コスト ストック 低コスト 評価法 水管理 ロボット |