課題名 |
食料生産地域再生のための土地利用型営農技術の実証 |
研究機関名 |
宮城県古川農業試験場
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研究分担 |
水田利用部・土壌肥料部・作物保護部
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研究期間 |
継H24~29 |
年度 |
2015 |
摘要 |
<目的>、東日本大震災から復興し,水田を中心とした食料生産地域を早期に再生するために,地域の担い手に農地を集積するとともに,圃場区画や経営規模の拡大により,コスト競争力のある水田農業の実現が期待されている。、 土地利用型農業の低コスト化戦略として,現行区画にも対応可能な技術である逆転ロータリ利用の広畝成形播種方式,効率的な作物切り替え技術,乳苗・疎植による水稲移植を組み合わせた,低コスト3年4作水田輪作体系を実証する。また,大区画圃場に対応した鉄コーティング湛水直播の耐倒伏性向上技術や効率的灌排水技術,気象情報に基づく生育診断管理技術などの支援技術を確立し,被災地の低コスト輪作実証体系に導入しその効果を実証する。、<成果>、1)-a 【鉄コーティング湛水直播】ほ場条件により,深耕による根部の深度割合が異なるが地上部の生育量が旺盛になりやすく,倒伏程度が慣行よりやや高くなる傾向にあった。「無代掻」は苗立本数を確保することにより,穂数が確保され「代掻有」と同程度の収量が得られる可能性があった。、2)-(1) 【土壌】広域的な土壌の類型化には,衛星画像を活用した土壌腐植含量や7月以降の生育増加量を用いることができ,地力の高低差を視覚化できる。、【雑草】除塩後水稲作における省力拡散性一発処理除草剤の効果検討及び難防除雑草(コウキヤガラ、クサネム)対策を行った。除塩後大豆作におけるイネ科対象土壌処理剤の効果が高いことを確認した。、モデル地区内水田の雑草種別発生状況調査をし、復旧後水稲作の問題草種コウキヤガラに対する省力的な防除対策,大豆作のアレチウリに対しては総合的な防除体系の有効性を実証した。復旧時期・作型別の水稲・大豆作の主要草種を明らかにした。、【病害虫】被災地の水稲作においても既知の対策である水田内雑草の除草で斑点米被害を抑えることが可能である。しかし,水田内雑草を適切に除草しても斑点米被害が発生する地域が存在する。休耕地面積を指標とすることで被害リスクの高い地域を把握することが可能となった。穂いもち発生リスクの広域評価マップを作成した結果,調査地域のリスクは高いと判断され,気象条件等に応じて,適時防除を行う必要がある。また,被災程度の増加によるリスクの増加は見られなかった。、【下層塩分】通水溝と弾丸暗渠を早期に施工することで,簡易な地下灌漑が5月に行うこともでき,降雨による除塩も促進され効果的である。簡易な地下灌漑を行うことで,排水とともに塩水が排出され,除塩の効果が見られた。灌漑を行うには,排水性がよく耕盤層が見られないほ場条件が必要であり,排水不良の場合,暗渠を1本/筆施工することで,除塩を促進し大豆作付け可能となる。、、2)-(2)【現地】小麦は緩効性肥料による省力効果と収量・品質の安定が確認できた。大豆は播種時期に対応した 成形播種方式を試み利用の汎用拡大が図られた。水稲乾直はマーカーの改良などによる播種作業の安定を図った。また、播種方式の安定のために砕土整地と播種を別にした二工程播種の確認を行い、作業速度も速まることから条件により作業方法の選択肢と期待出来る。【水稲乾直;場内】乾田直播栽培では,「みやこがねもち」の苗立ち率は高く,苗立ち数は確保されたこと,3区とも㎡あたりの籾数が37~40千粒と多かったことから,播種量を0.6㎏/aより少なくできることが示唆された。【大豆晩播狭畦;場内】「あきみやび」は,狭畦栽培で慣行栽培よりも倒伏程度が高くなったが,コンバイン刈りには支障のない3以下に収まり,収量,百粒重,外観品質は同等以上であったため,狭畦栽培が適すると考えられた。「ミヤギシロメ」は,収量,百粒重,外観品質において畦間による差はなかったが,畦間が小さくなるほど倒伏・蔓化程度が高くなる傾向であった。、【乳苗・疎植】常時被覆簡易乳苗(ベタ掛け乳苗)技術により目標に近い苗質が得られ,乳苗37株/坪植えとすることで10a当たり移植苗箱数は概ね半減した。また,乳苗移植とすることで欠株率は高まったが,収量は,現地乳苗37株/坪植えを除き慣行並となった。乳苗を露地で育苗する場合は,覆土量を1.0kgから1.5kgに,床土量を2.0kgから1.5kgにすると移植時の生育量を確保し易く、出芽器による加温出芽(27~31時間程度)の組合せが必要と考えられた。水稲作20haを想定した移植栽培において、慣行の稚苗移植に乳苗や疎植を導入した場合のコスト低減効果を試算評価した。省力効果としては4割まで削減可能と考えられた。コスト評価では全て乳苗疎植とした場合で25~29%の削減が可能と考えられた。【省力リスク】疎植栽培の現地実証は病害虫の発生が少なく防除効果を十分検証できなかった。斑点米カメムシ類に対するチアメトキサム・ピロキロン箱粒剤の効果は栽植密度に関わらず効果不足と判定された。乾田直播栽培の葉いもち防除は,初発前の散布が有効と考えられた。、3)麦類の生育予測において,場内試験では大麦の出穂期~開花期の予測手法の改善が必要と考えられたが、現地試験では,出穂期,開花期の推定日と実測日の誤差は0~3日程度であり,1kmメッシュデータの予報値を用いることにより,予測精度が高まる傾向が認められた。
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