課題名 |
気象変動に対応した革新的な育種素材の開発 |
研究機関名 |
宮城県古川農業試験場
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研究分担 |
作物育種部
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研究期間 |
継H26~30 |
年度 |
2015 |
摘要 |
<目的>、近年,温暖化に伴う登熟期間の高温により,玄米の白未熟粒発生割合が増加し,一等米比率の低下を招いている(平成22年70.4%)。生産現場からは,高温に遭遇しても品質が低下しにくい「高温登熟耐性品種」の開発が求められている。一方,宮城県で恒常的な問題である冷害の発生リスクも, 温暖化に伴い今後ますます増大すると予測されている。農業の安定経営,食糧の安定供給の観点から,平成22年の高温や平成5年並の低温に耐えうる優良品種を育成するため,その基になる「高温登熟耐性」と「耐冷性」に極めて優れる革新的な育種素材を開発する。、<成果>、1)高温耐性:高温登熟耐性検定について,全供試系統の出穂後20日間の処理温度は,概ね平均気温27℃後半となった。国内外の遺伝資源の高温耐性を評価し,「や強」以上の評価となったものを11系統選抜した。高温耐性に優れる系統の育成を目的として,「東北213号」と「高育70号」の交配を4月に行い,F1種子を51粒得た。その他にも,今回試験に供試した系統を用いた交配を4組合せ行い,F1種子を得た。得られたF1種子について,今後世代促進を進める。、2)耐冷性:超耐冷性系統(09CV19)と当場育成の有望系統との戻し交配6組合せを2014年3月下旬に行い,12~135粒のBC1F1種子を得た。その後温室でBC1F1世代を養成し,2015年3月下旬にBC1F2種子を得た。また,超耐冷性系統古川耐冷中母111と有望系統との交配を4月と8月に5組合わせ行い,F1種子を得た。 、 超耐冷性系統の耐冷性評価について,耐冷性検定プールの水温は,処理期間(7/15~9/10)の平均で17.45℃であった。出穂期は,8/16~8/22の間であった。ポットあたり2粒を播種し株栽培したため,稈長は82.5~105.0cmであった。東北PL1では,穂の出すくみ症状が見られ,稈長及び不稔調査は実施できなかった。基準品種の不稔歩合は,極強11の東北PL2,3がそれぞれ25.3,20.8%であったのに対し,超耐冷性系統は7.2~17.5%でいずれも極強(11)を上回ると考えられた。、 基準品種の既知の耐冷性強度の序列どおりの不稔歩合となり,超耐冷性系統5系統はいずれも極強(11)を上回ったが,全体に不稔の発生程度がやや少ない事と,稈長が100㎝前後に達する系統が多いため,処理期間中の幼穂位置の確認等を行い,場合によっては処理途中に水深を調整する必要があると考えられた。、※H21年度東北地域研究成果情報「東北地域における水稲耐冷性“極強”以上の新基準品種の選定」による。
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カテゴリ |
育種
遺伝資源
経営管理
高温耐性
高温登熟耐性品種
凍害
播種
品種
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