課題名 | 農産物の生産段階におけるヒ素・カドミウム等のリスク低減技術の開発 |
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研究機関名 |
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 農業環境センター 有害化学物質研究領域 |
協力分担関係 |
民間(3) 生産組合・協議会等(1) 社団・財団法人等(1) 農協・農事組合法人(1) 公設試験研究機関(28)(のべ数) (国研)産業技術総合研究所 大学(5) |
研究期間 | 2016-2020 |
年度 | 2020 |
摘要 | コメ中のヒ素リスク低減技術ついては、出穂期前後の 4 日間の落水を 2 回実施することで玄米中カドミウムを低濃度に維持し、収量品質に影響を与えずに無機ヒ素濃度を湛水区より も平均 23 %低減できることを明らかにした。また、製鋼スラグ 200 kg/10a を 3 年連用した圃場では、さらに玄米無機ヒ素を低減できることを確認した。これまでの成果を取りまとめ、出穂期前後における 4 日間の落水処理、カドミウム低吸収性品種と節水栽培の組み合わせ、並びに湛水管理と鉄資材の多量施用の組み合わせをカドミウム低減にも配慮した総合的な管理 技術体系と位置付け、行政機関と相談の上、「コメのヒ素低減のための栽培管理技術導入マニュアル」を改訂し、公開した。 イネの栽培期間中の茎葉に基づく玄米ヒ素濃度の予測については、メッシュ農業気象データ等を活用して検証し、気温観測値と出穂 3 週後の止葉中の総ヒ素濃度を使った式の改良により、予測精度が向上した。 カドミウム低吸収性水稲品種とヒ素低減のための水管理を組み合わせた安定栽培技術については、減数分裂期に窒素追肥することで収量構成要素が向上し、玄米収量や玄米品質の増加につながることを明らかにした。低ヒ素イネの遺伝解析については、引き続き遺伝子同定と作用機序の解明を進め、令和元年度までに同定したヒ素低吸収遺伝子の las3 を検出できるDNA マーカーを開発した。 農薬の後作物残留については、農薬の挙動を速度論で表現した後作物残留濃度予測モデル (PostPLANT-Soil)を構築した。農薬登録申請時に実施すべき適切な後作物残留試験条件については、供試土壌として土壌中炭素含量が 1%~2%程度の土壌と黒ボク土、供試作物については、コマツナ等葉菜類とニンジンなどの根菜類を提示した。試験を実施する季節については、雨の影響を受けにくい春作を提示した。本モデルの活用を含めた後作物残留試験実施の除外要件を取りまとめ、行政に報告した。クロピラリドに関しては、堆肥中クロピラリド濃度の空間分布が正規分布に近似できることを確認した上で、土壌中クロピラリド濃度分布の推定式、並びに生育障害が発生しない堆肥施用量を判断する手法を開発した。 このほか、令和 2 年 11 月に、今期に得られたクロピラリドに関する知見を加えて改訂した「飼料及び堆肥に残留する除草剤(クロピラリド)の簡易判定法と被害軽減対策マニュアル(第2 版)」を公開した。農林水産省課長通知(2消安第 3552 号等、令和 2 年 11 月 12 日最終改正)に本マニュアルの活用が示され、施策に反映された。 |
カテゴリ | 安定栽培技術 管理技術 こまつな 栽培技術 除草剤 DNAマーカー にんじん 農薬 春作 品種 水管理 |