| 課題名 | 1-(1)漁業資源の適切な管理のための研究開発 |
|---|---|
| 研究機関名 |
国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産資源研究所 水産資源研究センター底魚資源部 水産資源研究センター浮魚資源部 水産資源研究センター広域性資源部 水産資源研究センター海洋環境部 水産資源研究センター社会・生態系システム部 水産資源研究センター漁業情報解析部 水産資源研究センター生命情報解析部 水産資源研究センター研究企画部 管理部門 企画調整部門 さけます部門資源生態部 さけます部門資源増殖部 国立研究開発法人水産研究・教育機構 水産技術研究所 養殖部門まぐろ養殖部 養殖部門生産技術部 養殖部門養殖経営・経済室 環境・応用部門水産工学部 環境・応用部門沿岸生態システム部 環境・応用部門水産物応用開発部 企画調整部門 山口連携室 企画調整部門 標本管理室 |
| 協力分担関係 |
(公財)海洋生物環境研究所 (一社)漁業情報サービスセンター 日本エヌ・ユー・エス(株) (地独)北海道立総合研究機構 (地独)青森県産業技術センター 愛知県 鹿児島県水産技術開発センター 山口県 福島県 長崎県総合水産試験場 |
| 研究期間 | 2016-2020 |
| 年度 | 2020 |
| 摘要 | ・令和2年度の我が国周辺資源評価対象119魚種のうち、漁獲可能量(TAC)管理対象の7種(マイワシ、マアジ、マサバ、ゴマサバ、ズワイガニ、スルメイカ、スケトウダラ)とホッケ道北系群について、改正漁業法に対応した新たな生物学的許容漁獲量(ABC)算定規則を導入し、資源評価会議及び研究機関会議において新たな管理基準値や目標水準等を提案した。さらに、TAC対象種については、最大持続生産量(MSY)の考え方に基づく管理基準値や漁獲管理規則案に基づく漁獲シナリオを、資源管理方針の検討会(ステークホルダー会議:水産庁主催)で報告した。また、ステークホルダー会議の要望を踏まえた漁獲シナリオの試算結果についても公表した。このように、資源評価・資源管理の各過程において、科学的根拠に基づき、独立性、透明性を担保しつつ的確に対応した。 ・マサバとゴマサバそれぞれ2系群の令和元年度の資源評価報告書について、国内外の有識者によるピアレビュー(第三者専門家等による評価や検証)を受け、その結果を公表した。 ・資源評価対象魚種拡大に必要な漁獲情報の迅速な収集のため、関係都府県及び漁業協同組合において、水揚げ情報の集約方法、報告手段等の実地調査を行い、水揚げ情報収集システムの構築を開始した。神奈川県と新潟県において、水揚げ情報の市場からデータベースへの送信試験を実施した。環境データについては、漁具設置型の高精度水温・塩分記録計を開発し、東京湾と大阪湾において運用試験を開始した。さらに瀬戸内海においては、独自に開発したデジタル操業日誌のアプリケーションを標本船や試験操業に配備し、資源評価に利用可能なデータ収集を開始した。 ・マダラ日本海系群では、加入量の水平的広がりを考慮するために日本海北部底魚資源調査による広域の調査結果を精査した。さらに、モデルパラメータに位置情報を加えることも試みた。得られた加入量指標値をチューニング指数(コホート解析〈VPA〉結果の信頼性を上げるための指数)として、年齢別漁獲尾数を用いたVPAを試行した。これらにより、資源評価手法の高精度化を実現した。 マダラ太平洋系群では、令和元年度まで用いていたトロール調査による資源量推定から、市場データ及びチューニング指数としてトロール調査結果を用いたVPAによる資源量推定への切り替えを行った。チューニング指数には、年齢別の現存量値を用いるなど、調査データの運用も改善した。 ・マサバ太平洋系群の年齢、成熟情報を収集し、特に主産卵場である伊豆諸島海域に産卵回遊する親魚の年齢構成の変化を明らかにした。その知見を基に年齢別成熟割合を推定し、令和2年度のマサバ太平洋系群の資源評価にその値を適用した。 ・スルメイカ秋季発生群、冬季発生群を対象とした資源評価手法として状態空間資源評価モデルを開発した。評価結果を用いて得られた再生産関係には、各発生群ともレジームシフトに対応した二つの再生産関係が認められた。加えて、レジームシフトに対応したスルメイカの資源管理方策を検討した。 ・エネルギー収支モデルと粒子追跡モデルを組み合わせたカツオ回遊モデルに、成長段階に応じてカツオの遊泳の選好性を変化させる機能を新たに追加した。従来のモデルでは、カツオの卵から成魚まで成長に関係なく索餌回遊期としていたが、新しいモデルでは、性成熟後は回遊目的を索餌から産卵に切り替えるものとし、回遊生態を反映したより現実的な計算が可能となった。 ・次世代シーケンサー(ランダムに切断された数千万?数億のDNA断片の塩基配列を同時並行的に決定することができる)を活用して、従来法よりも費用対効果が高く、より多くのサンプル処理が可能なアオザメのミトコンドリアゲノム(ミトゲノム)配列決定法を確立した。複数個体について得られたミトゲノム全塩基配列データの比較から、本手法は集団構造解析に有効であることを確認した。この成果を活用して、日本、米国、スペイン、ポルトガル等の関係国で収集したサンプルを分析し、大西洋全体の遺伝的集団構造を明らかにした。 ・我が国として初めて、インド洋においてはえ縄漁業で捕獲されたハチワレ1個体に電子標識を装着・放流し、放流後少なくとも60日間生存していたことを確認することができた。また、関係国と共同で取得した放流後生残率のデータを基に解析を行い、ハチワレ資源の保全のための現行の保存管理措置である漁獲後ただちに放流することの有効性及び妥当性について議論を行った。 ・地域漁業管理機関(RFMO)が行う北太平洋・南北大西洋ビンナガ、中西部及び東部太平洋のキハダ・メバチ、インド洋のメバチ、サンマ等の資源評価に参画した。 ・まぐろはえ縄漁業について、対象魚種と海鳥それぞれにとって好適な海洋環境の分布に基づき時期・海域ごとの単位努力量あたり漁獲量(CPUE)と混獲量のシミュレーションを行った。その結果から、漁獲量の維持と混獲削減のバランスの取れた新たな操業形態を示した。 ・トラフグ伊勢・三河系群の天然稚魚が浅海砂浜域に分布する時期とその期間の全長組成の推移、さらに人工種苗のサイズと生産施設から放流適地まで運搬する際の死亡リスクとの関係から、最適放流条件は全長50 mmの人工種苗を6月中・下旬に砂浜域に放流することであると考えられ、現在行われている種苗放流はこの条件を満たしていることを確認した。 ・トラフグ伊勢・三河系群について、放流尾数及び漁獲係数(漁獲を死亡原因とした資源量の減少率の大きさを表す係数)を変化させた場合に5年後に期待される漁獲量の等量線図を作成した。5年後に期待される漁獲量は、放流尾数を約2倍、漁獲係数を約0.8倍にすることにより最大になると試算され、この結果を実現可能な管理方策として漁業関係者に提案した。 ・サワラ瀬戸内海系群については、放流尾数及び漁獲係数を変化させた場合に5年後に期待される資源量の等量線図を作成した。現状の資源状態では漁獲圧の調整に比べて種苗放流による効果が非常に小さいことを明らかにし、その結果を行政機関に提供した。 ・本研究課題で得られた成果を総合して、水産物を「資源評価」・「海洋生態系」・「漁業管理」・「社会経済的な状況」の4つの評価軸から評価し、その結果を食品としての安全・安心情報とともに水産物推奨リストとして社会に発信するSH“U”Nプロジェクトを実施し、30魚種46海域の評価結果を公表した。 〔アウトカム〕 ・国内の漁獲可能量(TAC)管理の根拠として用いられる生物学的許容漁獲量(ABC)や、国際的な資源管理のための勧告等に、資源評価を通じて科学的根拠を提供した。 ・我が国沿岸資源の資源評価報告書詳細版及びダイジェスト版並びに国際漁業資源の現況詳細版と要約版を水産研究・教育機構が運営するホームページで公開し、国民への情報提供に貢献した。 ・資源評価対象種の拡大に向け、資源評価に必要な漁獲量、CPUE等の基礎的な情報収集の迅速化・効率化を可能にする各種取組に着手し、高いレベルでの国の施策実現に貢献した。 ・日本近海へのカツオの来遊量や時期、来遊時の体長を併せて提供することが可能となり、漁業者の操業支援に活用される。 ・成果の一部を各国研究者と共同で大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)会議文書として提出した。 ・環境変動に伴う生活史特性の変化は、我が国周辺水産資源評価の精度向上に活用された。 ・SH“U”Nプロジェクトを通した情報発信により、研究成果の周知に加えて、国民の水産資源の持続性に関する理解を深め、日本の水産物を安心して食べられる社会の実現に向けて前進した。 |
| カテゴリ | 環境データ データベース |