摘要 |
農業生産の組織化程度の異なる集落類型(代かき・田植・収穫等の基幹作業の組織化が進展している2集落、このうち1集落は実証試験実施集落、および収穫作業が組織化されているのみで、それ以外の作業は組織化されていない1集落の合計3集落を調査対象とした)の全農家への営農意向調査結果をもとに、水田作の主要な担い手の特定と集落類型ごとの農業構造の10年後の予測(予測年2009年)を行った。まず、水田作の主要な担い手は、稲麦、稲麦+施設野菜、稲麦+肉用牛等の複合経営のオペレーター農家を核にして、水管理や畦畔の草刈り、田植の苗運搬作業を自ら実施する農業従事者によって構成される機械利用組合組織であることを明らかにした。また、集落類型ごとの農業構造予測により、農業労働力の減少は組織化の弱い集落のほうがより激しく、水田は大幅な貸付超過になること、組織化の進展集落でもオペレーター以外の労働力が大幅に減少することが推察され、このまま推移すればオペレーターに対する労働負担が増大することが予想された。組織化進展集落では、その対策として育苗、苗運搬労働の省力化、春作業の労働ピークの切り崩し等につながる水稲直播の普及可能性は高いこと、組織化の弱い集落でも労働力の減少や基幹部門(果樹)への重点化への対応として直播の普及可能性はあるが、収穫以外の春作業の組織化が前提となることが判明した。
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