課題名 | 東アジア地域における陸水魚類生態系に与える酸性雨影響評価技術の開発と応用(84) |
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課題番号 | 70 |
研究機関名 |
養殖研究所 |
研究分担 |
日光・繁殖研 日光・育種研 |
研究期間 | 完8~12 |
年度 | 2000 |
摘要 | わが国を含む東アジア地域で進行する酸性雨が魚類に与える影響の評価手法を実験的に開発し、野外での影響評価に応用することを目的とした。その結果、サケ科魚類はpH6.5以下の酸性環境で産卵行動や母川回帰行動に影響が現れ、pH5.5以下で内分泌系のかく乱が生じ成熟や配偶子形成に影響を受け、pH4.5以下で鰓塩類細胞の不全により死亡することが明らかになった。また、奥日光域での野外測定の結果、雨水はpH4.09~5.08の強い酸性を示し降雨後中禅寺湖流入河川水のpHも低下したが、酸性までには至らず、遡上親魚にも影響は観察されなかった。12年度は11年度に引き続き、中禅寺湖流入河川及び雨水の水質・pH変化とサケ科魚類の遡上・産卵行動および生理学的特性への影響を調査した。雨水・河川水pHは11年度と同様の傾向を示し、河川水は調査期間中酸性には至らず、遡上魚の血中Na量も正常値の範囲内にあった。しかし、人工水路を用いたブラウントラウトの遡上実験の結果、pH6で遡上行動が抑えられヒメマスと同様に高い酸忌避性を示したことから、比較的酸性化しやすい主要な遡上母川である外山沢で行動に影響が生ずる可能性が高いと判断された。また、イワナの産卵行動への影響を観察した結果、他のサケ科魚類より比較的耐酸性が強かった。この結果は、酸性雨の影響が生じやすい外山沢源流部にイワナのみが生息した調査結果とよく合致した。 |
カテゴリ | 環境制御 飼育技術 評価法 |