摘要 |
トルコギキョウにおいて,高温前歴を異にする苗のロゼット化と開花反応に対する低温処理の影響を4品種で比較検討した。高温下(32±2℃)で栽培した時,ロゼット率はF1品種‘メロウローズ’で最も低く,固定品種‘福紫盃’で最も高くなり,開花率はロゼット率の低い品種ほど高かった。種子に10℃で2~9週間低温処理したところ,高温下でのロゼット導入を阻止する最適処理期間はF1品種‘あずまの波’,‘つくしの雪’で2週間,‘福紫盃’で5週間であった。以上のように,近年育成されたF1品種には高温下でのロゼット率が低く,低温要求量が小さいものが認められた。幼苗期に5mm以上節間伸長した株の中には,その後,抽だい,開花しないものが認められた。高温下で5週間栽培した苗に1~5週間低温処理した場合,処理期間が長くなるほどロゼット率は低く,開花率は高くなったが,種子に低温処理した場合,5週間処理によってロゼット率が高くなった。以上のことから,トルコギキョウの抽だい,開花促進には最適低温処理期間が存在し,それは品種,苗齢によって異なることが明らかとなった。ロゼット株において,個葉の光合成速度は節間伸長株と有意差がなかったが,個体の光合成量は,上位葉しか光があたらないため,節間伸長株と比較して少ないと推測された。
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