課題名 |
家畜糞の分解における食糞性昆虫の利用(267) |
課題番号 |
225 |
研究機関名 |
東北農業試験場
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研究分担 |
畜産・家畜虫害研
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研究期間 |
完8~12 |
年度 |
2000 |
摘要 |
海外から導入した糞虫(Digitonthophagus gazella)と在来の糞虫の種間関係を明らかにすため、種間競争実験を行った。その結果、在来種のオオマグソコガネの幼虫が「労働寄生」を行い、D. gazellaの幼虫を殺す可能性があることが分かった。この事から、導入種の放飼には事前に糞虫相の調査を行い、オオマグソコガネが低密度な地域を選定する必要があると考えた。在来糞虫による牛糞分解機能を明らかにするため、放牧地内の糞虫相とそれらの種の発生消長を調べた。東北農試には5属26種の糞虫が生息し、糞虫相は比較的豊富で安定していた。糞虫の糞埋め込み活動が牛糞の理化学的特性と微生物へ及ぼす影響を調べた。牛糞中の有機物、全炭素、全窒素の含有率は、糞虫の糞埋め込み活動によって有意に減少し、さらにC/N比と腐植酸の測定結果から、牛糞は地中に埋め込まれる事によって急速に腐植が進む事が分かった。また、牛糞内の微生物は、糞虫が牛糞内で活動している期間は、細菌数は有意に増加し、糸状菌数は減少した。土壌中の細菌数は糞虫の活動によって短期間に増加し、その後、高いレベルを維持した。上記の結果は昆虫学会、草地学会等で発表した。なお、寒冷地では本課題で扱わなかった糞を埋め込まないタイプの糞虫や、ハエ類が糞の分解を担っていると思われる。今後はそれらの種の働きについて検討する必要がある。
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カテゴリ |
管理技術
中山間地域
肉牛
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