課題名 | 屋久島森林生態系の固有樹種と遺伝的多様性の保全条件の解明 |
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課題番号 | 2001001039 |
研究機関名 |
独立行政法人森林総合研究所 |
研究分担 |
森林総合研究所 森林遺伝研究領域 生態遺伝研究室 森林総合研究所 森林遺伝研究領域 領域長 森林総合研究所 森林遺伝研究領域 ゲノム解析研究室 森林総合研究所 森林遺伝研究領域 稀少樹種チーム長 森林総合研究所 生物工学研究領域 形質転換研究室 森林総合研究所 森林植生研究領域 群落動態研究室 森林総合研究所 九州支所 育成林研究チーム長 森林総合研究所 九州支所 生態系研究グループ 森林総合研究所 九州支所 動物研究グループ |
研究期間 | 新規2001~2005 |
年度 | 2001 |
摘要 | 1.当年度の研究目的 ヤクスギ天然林調査地の設定を行う。ヤクスギ遺伝構造解析用のサンプリングを開始する。ヤクタネゴヨウの現存林分の分布調査を開始する。ヤクタネゴヨウの着花・結実状況の調査を開始する。ヤクタネゴヨウの最適培養条件の検索を開始する。照葉樹林調査地の設定を行う。 2.当年度の試験研究方法と成果 1)ヤクスギの遺伝構造の解析 クスギが全国のスギと比較してどのような特徴を持つのかを探るため、屋久島を含む全国のスギ天然林20集団を対象として、基盤連鎖地図にマップされた94遺伝子座のCAPSマーカーの解析を行った。ヤクスギ集団は分布の端にあるにもかかわらず、全国のスギ天然林集団と比べて遺伝的多様性は比較的高かった。また太平洋側集団と同じクラスターを形成した。 2)ヤクスギ天然林の構造と動態の解析 天文の森試験地(1ha)を拡張して4ha試験地とすることとし、トランジットコンパスによる簡易測量で水平距離10mごとに赤杭を打った。また胸高直径5cm以上の全幹について、アルミタグの設置、周囲長測定、樹種記録などの毎木調査を行った。試験地の設定を行い、毎木調査に着手した。 3)ヤクタネゴヨウの分布および枯損状況の解析 高平岳の生残個体分布調査を進めるため、国有林野の境界杭を起点としてポケットコンパス等を用いて、樹高1.3m以上の個体の位置を測量した。枯損状況モニタリングは4地域(尾根)を対象に全調査対象個体の生死を確認した。高平岳で生残を確認した50個体の中で31個体について分布位置および個体サイズを記録した。枯死個体からはマツノザイセンチュウは検出されなかった。 4)ヤクタネゴヨウの天然更新を阻害する遺伝的要因の解析 繁殖寄与個体と種子の生産性を解析するため、西部地区の平瀬国有林4林班のい小班とは小班において、各個体の雌雄花別開花および結実数を調査した。結実個体率は50%以下、また個体ごとの平均充実種子率は約50%であった。ヤクタネゴヨウ現存個体を救うクローン増殖技術の開発では、DCR培地で不定芽を誘導させることに成功した。 5)ヤクタネゴヨウの更新に対する他樹種の影響の解析 西部地区の照葉樹林である平瀬国有林4林班のい小班において、尾根線上の平坦面、急斜面と尾根線からわずかに外れた谷面に、ヤクタネゴヨウを含む林分と含まない林分の計10個の方形区を設置し、林分構造の比較を行った。ヤクタネゴヨウの有無が混交樹種の林分構造に与える影響は小さく、むしろ地形の違いが林分構造を規定していることが考えられた。 6)遺伝子保存のための天然林調査 西部地区および高平地区の計3集団について、アイソザイム変異から遺伝的多様性と集団間分化を解析した。西部地区に比べて高平集団はヘテロ接合率がやや低く、対立遺伝子頻度も異なる傾向が見られた。近交係数はいずれの集団も低く他殖集団と考えられた。 |
カテゴリ | 繁殖性改善 モニタリング |