森林施業が水資源かん養機能に及ぼす影響評価

課題名 森林施業が水資源かん養機能に及ぼす影響評価
課題番号 2001001053
研究機関名 独立行政法人森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所 水土保全研究領域 水保全研究室
森林総合研究所 気象環境研究領域 十日町試験地
森林総合研究所 植物生態研究領域 物質生産研究室
森林総合研究所 森林管理研究領域 資源解析研究室
研究期間 新規2001~2005
年度 2001
摘要 1.当年度の研究目的 森林の構造と樹冠動態をモデル化するため、個体葉量に及ぼす林分密度効果を検討する。また、林木個体レベルでの樹冠量の空間分布を解析して、枝葉の枯れ上がりを含めた樹形及び葉群構造を明らかにする。 2.当年度の試験研究方法 "森林施業の行われた試験流域を対象に林分構造に関する計量データなどの収集と整理を行うほか、スギの保育形式に関する報告書(安藤ほか,1968)を利用して、枝・葉・幹等の個体重と林分密度の関係を解析する。詳細な樹冠構造を明らかにするため、20年生スギ人工林で4個体の層別刈取調査を行い、樹冠内での枝葉の枯死過程と葉量分布等を調査する。また、茨城県北部の常陸太田試験地において、ヒノキの壮齢林と幼齢林の葉面積指数LAIの季節変化を測定する。これらの結果と既存のLAIの林齢依存デ-タとを比較するとともに、林分の蒸発散量の観測により、その変動特性を検討する。" 3.当年度の研究成果 個体葉量wLは樹冠形に依存し、特に樹冠長がその形状を規定すると考えられる。個体葉量は樹冠長と密接な関係にあるはずで、実際、葉量と樹冠長はべき乗式で近似することができる。また、樹冠長そのものは同一林分内の個体でも明らかに個体差が認められる。人工林では生枝下高がほぼ一定になるので、その樹冠長の個体差は、樹高の違いによる系統的な違いである。一方、林分平均の個体葉量と林分密度の関係は明瞭な「べき乗関係」が認められ、同様の関係は枝についても認められた。  葉面積指数LAIは、季節変化し、林齢に伴い減少することが明らかになった。幼齢林ではLAIは早春に最小となり、夏にかけて増加が著しく、1999年と2000年とを比較すると季節変化に加えて経年成長による右上がりの傾向が見られる。壮齢林では冬季にLAIの最小値が得られているものの、測定値のばらつきが大きく季節変化は不明瞭である。この結果から、LAIの季節的変化およびばらつきの幅は壮齢林では約0.5,幼齢林では約1である。LAIを林齢10~20年と林齢約100年とで比較すると約2倍の違いを示していた。また、その変化幅については季節変化に比べて約2~4倍大きい.このため, LAIの林齢依存性は,LAIを測定する季節に依存してその傾向が大きく変わることはないと考えられる。  これらの結果から、森林施業と水資源涵養機能に関する研究で基本的な要因となる森林の成長と樹冠量、葉面積指数などについての基礎的情報が集積され、林齢や季節変動特性が明らかになった。これは今後の具体的な森林施業の影響解析における基盤情報であり、この情報の更なる精緻化により、これに基づくモデル化の進展に大きく貢献すると考えられる。
カテゴリ 季節変動

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