| 課題名 | ニホンジカの密度管理技術の開発と植生への影響 |
|---|---|
| 課題番号 | 2001001069 |
| 研究機関名 |
独立行政法人森林総合研究所 |
| 研究分担 |
森林総合研究所 九州支所 生物被害担当チーム 森林総合研究所 野生動物研究領域 鳥獣生態研究室 森林総合研究所 北海道支所 森林生物研究グループ 森林総合研究所 森林植生研究領域 群落動態研究室 森林総合研究所 森林植生研究領域 植物多様性担当チーム 森林総合研究所 九州支所 森林動物研究グループ 森林総合研究所 九州支所 森林資源管理研究グループ |
| 協力分担関係 |
北海道環境科学研究センター 福岡県森林林業技術センター 九州大学 |
| 研究期間 | 継続2001~2005 |
| 年度 | 2001 |
| 摘要 | 1.当年度の研究目的 個体数推定方法を改良してのシカの生息密度推定,大型実験柵におけるシカ導入前の植物多様性の把握,GPSテレメトリー法の測位精度・測定成功率の検討,発信器を装着したシカのホームレンジおよび利用環境の把握、シカ防護柵内外の植生の比較による森林植生の遷移・動態の解析,捕獲個体から得られる齢指標をもとに,捕獲が年齢構成に及ぼす影響の検討,TINモデルを用いてのシカの生息密度ポテンシャルマップの作成を行う。 2.当年度の試験研究方法と成果 1)シカの生息密度推定と植生の動態との関連解明 Lincoln-Petersen法により個体数を推定した。この方法の成獣の生息数推定値は春季に250±20頭(SE)(n=5),秋季には256±31頭と,高い精度であった。また,胸高直径10cm以下の広葉樹の小径木はきわめて少なく,シカの採食高内(高さ2m以下)の摂食可能な植物はほとんど見られなかった。 2)シカ導入前の大型実験柵内植物多様性把握 国有林内に設けた25ha,6.5haの実験柵内にシカの採食調査枠と金網で囲ったシカ排除枠を9ヶ所設置した。実験柵内の保残帯にはアカマツ、イヌシデを中心とした落葉広葉樹林が残っており,人工林はスギの他にミズキ,ホオノキなどが混生していた。新植地ではスギとヒノキ以外にリョウブやエゴノキのなどの萌芽幹があり,小サイズの幹が多いことからシカの採食の影響が大きいと考えられた。 3)GPSテレメトリー法の測位精度検定及び測定成功率要因の検討 テロニクス社製およびテレビルト社製のGPS首輪を用い,植生,地形,林冠被度の異なる595地点と2カ所の三角点において測位するとともに,飼育アカシカ3頭について測定成功率を調査した。GPSテレメトリーにより精度の高い位置データが得られ,全ての植生・地形タイプで83~97%と高い測定成功率が得られた。 4)シカへの発信器装着によるホームレンジおよび利用環境の季節的変化の把握 九州大学宮崎演習林(宮崎県椎葉村)においてシカ11(オス2,メス9)頭に発信器を装着し,1~2週間間隔で位置を確認し,ホームレンジを確定した。メス成獣および1才オスのホームレンジは7~34haと定着性が強かった。オス成獣のホームレンジは,交尾期以降メスから約2km離れた別流域に移動した。若齢造林地を利用する個体は,天然林を多く利用する個体よりホームレンジが小さく,エサ資源との関係が示唆された。 5)シカ防護柵内外の植生の比較及び森林植生の遷移・動態に及ぼすシカの影響解析 シカ防護柵の内外に2×2mの調査枠を6個設け,林床植生の群落組成および高木性樹種の稚幼樹の成立本数,樹高を調査した。チマキザサは防護柵設置後2年を経過しても回復しなかった。稚幼樹の数は防護柵の内外で約6~7倍,平均高で2~9倍の違いが見られた。シカの採食によるササの衰退は樹木の更新を促進させる一方,シカの採食が更新を阻害していることも明らかとなった。 6)捕獲が年齢構成に及ぼす影響の検討 捕獲された434(オス264,メス170)個体の年齢査定を行い,1994~1997年度の4年間にオスの捕獲数は約1.5倍に,メスでは約5倍に増加した。年齢構成は,0才の割合の増加,10才以上の割合の減少,平均年齢の低下など「若齢化」が見られた。1才以上の妊娠率には年変化がないことから,若齢化は成獣(10才以上)の割合の減少によるものと考えられた。 7)TINモデルによるシカ生息密度ポテンシャルマップの作成 福岡県内のシカ生息密度データを用いてTIN(Triangulated Irregular Network)モデルを生成し,50×50mメッシュと組み合わせて生息密度ポテンシャルマップを作成した。これにより,生息密度の高い箇所を具体的に把握することが可能になった。福岡県東部では,シカの生息密度はいくつかの地域で特異的に高く,その周辺で低くなる構造をもっていた。この方法は九州内の他の地域にも適用可能であろう。 |
| カテゴリ | 病害虫 管理技術 GPS シカ 防護柵 防除 |