課題名 | 社会的背景にもとづく公益的機能評価及び意志決定支援手法の開発 |
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課題番号 | 2001001078 |
研究機関名 |
独立行政法人森林総合研究所 |
研究分担 |
森林総合研究所 森林管理研究領域 環境計画研究室 森林総合研究所 森林管理研究領域 |
研究期間 | 新規2001~2005 |
年度 | 2001 |
摘要 | 1.当年度の研究目的 本課題では,生物多様性,保健休養,合意形成など,森林計画において不可欠な要素であるにもかかわらず,これまで研究があまり行われてこなかったいくつかのカテゴリーを中心に進めている。当年度は,1) 自然科学と社会科学の手法を統合した生物多様性評価手法を開発する,2) 意志決定に関与する利害関係者の問題認知の論理構造を把握し,対立する2者がどのような点で不合意を認識しているかを抽出する方法を確立する,3) 米国の森林計画においてどのような温暖化対策が取られているか明らかにする,ことを目的とした。 2.当年度の試験研究方法 1)生物多様性評価手法の開発:鳥類センサスデータをもとに総合的に評価するための手法を開発した。また,茨城県南部と奄美大島において鳥類のセンサスを行うとともに,既往のセンサスデータ,文献,専門家に対する意識調査をもとに手法を開発した。 2)対立する2者の不合意抽出法の確立:霞ヶ浦の保全に関わる旧建設省霞ヶ浦工事事務所と市民団体の意見の相違について,「認知構造図(Cognitive Map)法」を用いて対立する2者の不合意を抽出した。 3)米国の温暖化ガス固定量の推移と森林政策に関する情報を収集・分析した。 3.当年度の研究成果 1)分布域の大きさ,系統学的特異性,専門家の認識にもとづく定量的価値判断を総合化した鳥類種の多様性評価手法を開発した。。そして,その有用性を検証するために,収集したセンサスデータと専門家による評価をもとに総合的な評価を行い,いくつかの地域間で比較した。その結果,地域的な希少性を重視した場合には兵庫県の氷ノ山,全国レベルで評価した場合には奄美大島の評価がとくに高かった。 2)問題認知の相違を抽出する手法として,認知構造図法にもとづくグラフ表現と行列表現の重ね合わせを行い,表現の違いによる抽出特性の違いを比較分析した。その結果,グラフの重ね合わせでは,旧建設省工事事務所は浄化施設や導水事業など,直接的な新規事業の創設で前者は対処しようとするのに対し,市民団体は漁獲によって流入負荷を湖外に取り出す,水田や畑での野生生物の繁殖を助けるなど,農業や漁業の働きを活かした対策を提案しているといった問題解決のアプローチの相違が抽出できた。一方,行列では,解決アプローチの相違を抽出することは難しいが,事業や対策の影響,評価の違いなどを機械的に抽出できる点で優れていることがわかった。 3)米国は吸収源の温暖化対策として,都市林の拡大,森林地での効率的炭素貯蔵の維持,木材生産性の改良,防火や病害虫獣対策を促進していることがわかった。 |
カテゴリ | 温暖化対策 害虫 管理システム 水田 繁殖性改善 |