二次林化及び分断化が森林群落の動態及び野生生物種の生態に及ぼす影響

課題名 二次林化及び分断化が森林群落の動態及び野生生物種の生態に及ぼす影響
課題番号 2001001089
研究機関名 独立行政法人森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所 森林植生研究領域 群落動態研究室
森林総合研究所 野生動物研究領域 鳥獣生態研究室
森林総合研究所 森林遺伝研究領域 ゲノム解析研究室長
森林総合研究所 九州支所 森林生態系研究グループ
森林総合研究所 北海道支所 チーム長
森林総合研究所 北海道支所 森林育成グループ長
森林総合研究所 北海道支所 森林育成グループ
研究期間 新規2001~2001
年度 2001
摘要 1.当年度の研究目的 熱帯林の多くは既に択伐や様々な人為攪乱を受け、断片化や分断化が進んでいる。従来のような天然林の研究に加え,孤立化、分断化している二次林の樹種構成や遺伝的構造、野生生物の生態を明らかにし,熱帯林の公益的機能の維持向上に取り組むことが求められている。本課題では、択伐が森林の構造と動態,主要樹種の遺伝的多様性,及び野生生物の行動と生態に与える影響を解明する。 2.当年度の試験研究方法と成果 " マレーシア半島セマンコック保護林内に6haの天然林調査地と,隣接した林班の択伐林に4haの試験地を設置した。2つの試験地で胸高直径5cm以上のすべての個体の毎木調査を行った。胸高直径5cm以上の個体の全てと,結実後に芽生えた実生も採取し、DNAを抽出した。新しく開発したマイクロサテライトDNAマーカーで4遺伝子座を対象に解析を行った。同様にマレーシア半島のパソー保護林ではNeobalanocarpus heimiiとShorea lepulosulaのDNAを種子,実生,親木から抽出し花粉親の解析を行った.1974年に伐採された2次林でのこれら2種の更新状況を調べた.樹上性リス類の組成の違いはパソー保護林の中心に近いコアエリアの天然林と,周囲のオイルパーム林に近いバッファーゾーンの天然林と2次林で,標識再捕法を用い調べた."  Shorea curtisiiの繁殖単位面積は天然林(6.3ha)より,択伐林(4.76ha)の方が狭かった.これは択伐林の母樹密度は天然林より明らかに低いが,他殖率も0.52と天然林の0.96より低いため,より空間的に狭い範囲での花粉の交換しか行われないことを示している.Neobalanocarpus heimiは母樹密度が低く(0.71/ha),広い繁殖単位面積(86.3ha)を持っていた.また種子に翼がないにもかかわらず,ある母樹の樹冠下で見つかる他の母樹の種子の割合は16%あった.これは樹上性のリス類がNeobalanocarpus heimiiのように翼のない樹種の種子散布に重要な役割を果たしていることを示している.パソー保護区の中に1974年に部分的に伐採された 2次林(0.2ha)がある.そこでの更新状態をみると,Shorea lepulosulaは8個体が既に胸高直径5cmを越えていたがNeobalanocarpus heimiは胸高直径5cmを越えた個体は1個体もなかった.このように同じフタバガキ科の樹種でも,種子散布,繁殖単位面積,2次林での更新可能性に大きな違いがあり,熱帯林の2次林化や分断化に対する反応も異なることが予想された.また単に繁殖面積だけでなく他殖率の低下も熱帯林の持続的管理のためには十分考慮する必要がある. 多くの成果があがったが、種多様性の高い熱帯林の中では研究対象にできた種はごく一部であり、フタバガキ科以外の樹種についても遺伝的な構造の解析が必要である。択伐林の回復過程を明らかにするためにはさらに長期のモニタリングが必要である。
カテゴリ 管理技術 シカ DNAマーカー 繁殖性改善 モニタリング

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