マツノザイセンチュウの病原性制御技術の開発

課題名 マツノザイセンチュウの病原性制御技術の開発
課題番号 2002003129
研究機関名 森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所 T長(病害制御)
研究期間 継続2001~2005
年度 2002
摘要 当年度の試験研究方法:分散型IV期幼虫誘導因子の単離に取り組む。マツノザイセンチュウの分離系統の病原性を判定し、そのDNAを解析する。線虫ゲノムDNA、RNAの抽出法の改良に取り組む。Trichoderma属菌を接種した枯死木中のマツノマダラカミキリ成虫への線虫乗り移りを解析する。誘導抵抗性の発現条件の解析に取り組む。当年度の研究成果:カミキリが放出する線虫分散型IV期幼虫誘導因子は、接触刺激物質のような性質を有すると推測された。病原力の異なる線虫個体群が同一マツに伝播された場合、マツ樹体内で交雑は起こるものの、病原力の強い線虫個体群によってほぼ占められることが示唆された。これらの線虫の4つのマイクロサテライト対立遺伝子座の遺伝子数は少なかった。マツノザイセンチュウ、ニセマツノザイセンチュウの発育ステージを限定しないcDNAライブラリーを作製した。マツノザイセンチュウ、ニセマツノザイセンチュウのキチナーゼ遺伝子の全塩基配列を決定した。キチナーゼ遺伝子の発育ステージ別の発現を解析し、発現しない発育ステージの存在を確認した。大腸菌でキチナーゼ遺伝子を発現させる系統を構築した。試した線虫の凍結保存法では解凍後の線虫生存率は約50%であった。マツノザイセンチュウの凍結保存が可能となった。供試した線虫制御候補Trichoderma属菌11菌株のうち3菌株で、カミキリ成虫の保持線虫数が減少する傾向が見られた。また、カミキリ成虫の保持線虫数には、枯死木個体間および蛹室の位置(材内または樹皮下)によって違いが見られた。弱病原力線虫C14-5の接種後に強病原力線虫を接種した場合、4ケ月後のマツの生存率は、アカマツ、クロマツともかなり高かった。結果の意義:線虫分散型IV期幼虫誘導因子は、接触刺激物質的性質を有すると推測されたことは当該因子の生物検定法の開発に役立つ。マイクロサテライト対立遺伝子座の遺伝子数は少なかったことはマツ林に病原力の異なるマツノザイセンチュウが侵入した場合、病原力の強い線虫系統が蔓延するということを示しており、侵入初期における防除の重要性が DNAレベルで確認された。キチナーゼ遺伝子の全塩基配列を決定したことはマツノザイセンチュウの発育制御機構をDNAレベルで解明する手がかりとなる。Trichoderuma属菌の導入によりカミキリ成虫の保持線虫数が減少したことは誘導抵抗性発現機構解明のための安定した試験系の確立に役立つ。
カテゴリ 病害虫 生物検定法 抵抗性 防除

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