日本産広葉樹材の識別データベースの開発

課題名 日本産広葉樹材の識別データベースの開発
課題番号 2002003213
研究機関名 森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所 T長(識別データベース化)
協力分担関係 Peter Kitin(JSPSフェロー)
研究期間 継続2001~2005
年度 2002
摘要 蒐集標本の少ない対馬、東北地方および東海地方で木材標本採集を行い、約500点の標本を蒐集した。その結果、未蒐集の樹種や既存の標本の少ない樹木の標本も採集できた。標本の揃っている分類群の木材組織を観察し、識別拠点の解明とコード化し、識別データベース化の作業を進めた。木材標本庫所蔵の木材標本にもとづき、さく葉標本、材鑑標本、光学顕微鏡像の画像データベース化に着手し、約2,000点の標本について入力を完了し、データベース公開の準備をした。世界の極めて広範囲に分布するハウチワノキ属を試料として、多様な環境に生育する分類群について木材組織の変異に及ぼす生育環境の影響を解析したが、その木材組織には生育環境による変異は認められなかった。属レベルにおける変異が木材組織に普遍的に見られることを考えると、木材組織の進化は種レベルと属レベルで別々に起こった可能性が指摘された。木材形成に及ぼす水分環境の影響をシベリアに生育するLarixとPinusを試料として調べた結果、晩材形成が水ストレスにより制限されており、夏期の木材形成には水分環境が強く影響していることが明らかになった。青森県の遺跡の出土材の樹種識別では、縄文時代前期においてウルシが日本で栽培され利用されていたことを見出した。漆器は縄文時代早期以降、国内各地で多量に出土していたが、ウルシの木が栽培されていたことを指摘したのは初めてである。東京都新宿区の遺跡出土木材の樹種を江戸時代を通して調べた結果、江戸時代中期以降には、関東周辺の山に生育する樹種のほか、カラマツ属やトウヒ属、トガサワラといったより奥地の樹種も利用されていた。この結果、江戸時代には流通制度が確立するにしたがって奥山の開発が進み、多量の木材が生産消費されていたことが明らかとなった。これらの結果、木材組織的特徴の変異の成因の一端が解明されるとともに、木材利用史および古植生の復元の基礎となるデータが蓄積された。
カテゴリ 加工 データベース

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