森林動物・微生物の多様性評価とモニタリング手法の開発

課題名 森林動物・微生物の多様性評価とモニタリング手法の開発
課題番号 2003004300
研究機関名 森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所
研究期間 継続2001~2005
年度 2003
摘要 森林動物・微生物の多様性評価とモニタリング手法の開発当年度の試験研究方法:羽化トラップの改良を行うとともに、札幌市郊外の落葉樹林において、異なる樹種の根際部から羽化する甲虫の種構成を比較した。小川学参林周辺の林齢の異なる落葉広葉樹林で、簾型営巣トラップ(竹筒製)とマレーズトラップを併置し、両者で得られた有剣ハチ類を比較した。小川および里美村の人工林と落葉広葉樹林において、ピットホールトラップとハンドソーティングでアリの採集を行って得られた種を比較した。コウモリ用自動撮影装置を札幌郊外の林道に10台設置し、5月から12月まで継続的に記録した。また自動撮影による哺乳類インベントリ調査手法を確立するため、知床、阿寒に設けた試験地に、6月から10月の間各地区10台の自動撮影装置を林道沿いに設置した。外見と鳴声の酷似するオカメコオロギ類3種を、鳴音のみによって種を区別できるか検討するため、東北支所構内および小岩井農場内でコオロギ類の鳴音を録音しそれらを採集した。さらに採集した個体を飼育し鳴音を録音し、Avisoft-SASlabProで分析した。樹木の葉や樹皮に昆虫病原性糸状菌が存在するかどうかを知るため、つくば市森林総研構内の各種の葉と粗皮から、選択培地を用いて昆虫病原性糸状菌の分離を試みた。林内土壌中の昆虫病原性糸状菌の種類と密度が、地域や樹種によって異なるかどうかを調査するため、各地の林分から土壌を採集し、選択培地とハチミツガを用いた釣り餌法で昆虫病原性糸状菌を分離し密度を求めた。絶滅危惧種のキノコ、ヤチヒロヒダタケ個体群の遺伝的多様性を明らかにするため、日本産とヨーロッパ産個体群のITS領域の比較を行った。絶滅危惧種であるツキヨタケの遺伝的多様性解析のため、RAPDプライマーを作成した。汎世界的に分布し比較的原生林に発生するため指標種として有望なアイカワタケ属菌について、分類学的検討を行うことを目的とし、遺伝的に分かれているグループ間で交配試験を行った。根室半島で捕獲したエゾヤチネズミから分析用組織試料(肝臓と指)を採取し、MHC遺伝子近傍のマイクロサテライト配列を増幅するためのPCRプライマーを設計・合成した。当年度の研究成果:作成が容易で携行性の高い甲虫用羽化トラップが完成した。地表面から羽化する甲虫の種構成は樹種の影響をうけておらず、樹種別の層別サンプリングは不要であることがわかった。ハチの営巣トラップで得られた分類群の大まかな構成は、マレーズトラップで得られたものと比較的類似し、営巣トラップは有剣ハチ類のモニタリング法として有効であるとわかった。アリに関しては、土壌A0層からのハンドソーティングによって最も多くの種が得られたので、モニタリング法として適していたが、時間や労力の軽減のため他の方法との併用や置換が必要と考えられた。自動撮影によって得られたコウモリの記録は、活動性の季節変化をよく反映しており、特定動物を継続観測する方法としての有用性が確認された。また地上性哺乳類の自動撮影記録は、クロテンが阿寒で知床より多いことなど、地域間のファウナの違いをよく表していたので、多様性モニタリング法としての有効性が示唆された。こうした調査を大規模に行うためのマニュアル素案を作成した。録音したオカメコオロギ類の鳴音から、種の識別に利用可能な成分を取りだして解析した結果、少なくとも2種の自動識別が可能となった。コナラとスギの樹皮を粉砕し、懸濁液を選択培地で培養する方法によって昆虫病原性糸状菌が分離することができた。また各地の土壌の懸濁液を選択培地に塗布して培養した結果、昆虫病原性糸状菌として知られる菌が9種分離された。広葉樹林の土壌からの方が針葉樹林の土壌からよりも、昆虫病原性糸状菌の分離頻度が高い傾向があった。ツキヨタケについては、再現性が比較的高いと考えられる12塩基でTm値の高いプライマーを作成することができた。またITS領域の比較により、ヤチヒロヒダタケはヨーロッパ(イギリス、フランス、ドイツ)、日本の個体群はそれぞれの内部で均一であるが、ヨーロッパと、日本の個体群は違いがあることが明らかになった。さらにアイカワタケ属菌については、遺伝的に分けられられた日本産の4グループ間で交配試験を行ったところ、うち2つのグループ間では交配可能であったため、全体では3つの生物学的種にわかれた。エゾヤチネズミのMHC Class II遺伝子近傍の既知の塩基配列を参考に2種類のマイクロサテライト配列を増幅するプライマーを設計・合成し、それを用いてDNA断片の増幅が可能であるかどうか検討したところ、一方のプライマーセットでのみ、ほとんどの個体で目的の領域が増幅され、しかも目的領域内の繰返し配列の変異に基づくと見られる多型性が検出された。しかし前年度検討したプライマーセットの場合と同様、増幅できない対立遺伝子の存在
カテゴリ モニタリング わた

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