白神山地等森林生態系の保全地域とその周辺地域における変動予測

課題名 白神山地等森林生態系の保全地域とその周辺地域における変動予測
課題番号 2003004354
研究機関名 森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所
研究期間 継続2001~2005
年度 2003
摘要 白神山地等森林生態系の保全地域とその周辺地域における動態予測当年度の試験研究方法:1)八幡平嶮岨森東斜面のアオモリトドマツが優占する亜高山帯林に形成(1980年代中頃)された全層雪崩跡地を対象に、林分構造や年輪解析、実生定着等の調査を行い、雪崩が森林の動態におよぼす影響を解析する。2)佐渡スギ林で試験地設定から10年間の立木(胸高直径5cm以上)の本数の変化、サイズの変化、枯死、新規加入木の本数、稚幼樹(胸高直径5cm未満)の組成などについて解析する。当年度の研究成果:1)嶮岨森の全層雪崩跡地調査区では、大径木(直径20cm以上)は幹折れや根返りでほぼすべて枯死し、生き残った低木個体(樹高5m以下)はいずれもその成長を雪崩直後顕著に増加させていた。一方、後生稚樹(<15年生)は、幹折れ個体直下、周辺のササ地ともにほとんど定着しておらず、林冠疎開に伴う光環境の好転は必ずしも新たな稚樹の定着促進に結びつかないことがわかった。その原因には、大径木の枯死による種子供給源の減少や、林床に密生するササの被陰の影響などが考えられた。以上の結果から、同地域の亜高山帯林では低頻度(数10年間隔)で全層雪崩が発生し、規模の大きなギャップが形成されるが、後生稚樹による次世代の定着にはかなりタイムラグがあり、攪乱直後の森林更新を担うのは主に毎冬埋雪して雪崩被害を免れるような低木や前生稚樹であることが示唆された。2)佐渡スギ試験地の調査区内の立木は1991年の台風被害により、400本から372本(1992年)に減少したが、1997年、2002年に519本、620本と増加していった。この10年間の新規加入木の大半は、ハウチワカエデ、タムシバなどの広葉樹類で占められていた。当調査区内の主要樹種であるスギとブナを比較すると、対照的な動態であることが明らかになった。スギでは93本から102本に微増したが、新規加入個体・死亡個体ともほとんどが胸高直径20cm以下の小径木であった。一方、ブナは123本から183本に増加したが、20cm以上の中・大径木の死亡が比較的多かった(1992年生育個体70.5本/ha中7.6本/haが死亡)。胸高断面積合計はスギが10年間で1.9m2/ha(4.4%、1992年当時43.6m2/ha)の増加だったが、ブナは0.2m2/ha(-1.9%、1992年当時11.0m2/ha)減少した。これは、スギの大径木はほとんど枯死せずしかも肥大成長が大きかったのに対し、ブナでは本数を大きく増やしたものの比較的太い立木が枯死したためであった。地表面のコドラート(2m×2m)では、幼樹(胸高直径5cm未満、樹高30cm以上)の密度はギャップ下にあるコドラートでの本数の増加が顕著であった。特に本数が多かったのはブナとミズキであった。スギの本数は減少しており、成長もほとんどしていなかった。
カテゴリ かえで 管理システム

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