急峻山岳林における立地環境特性の解析と複層林への誘導のための森林生態系変動予測技術の高度化

課題名 急峻山岳林における立地環境特性の解析と複層林への誘導のための森林生態系変動予測技術の高度化
課題番号 2003004356
研究機関名 森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所
研究期間 継続2001~2005
年度 2003
摘要 急峻山岳林における立地環境特性の解析と複層林への誘導のための森林生態系変動予測技術の高度化当年度の試験研究方法:1)四国地域の既存土壌データセットを用いて、森林土壌の保水容量と土壌型、土壌深や母材など6つの環境要因との関係を解析する。2)耕作放棄後の植林地土壌で孔隙率と土壌有機特性との関係、地上部植生の種組成と成長経過との関連についても解析する。3)森林土壌の窒素保存機構の解明を行うため、3樹種の林分土壌でトレーサー実験による窒素回収率の解析を行うとともに、竹林の拡大侵入が植生の変化に及ぼす影響を解析する。4)複層林誘導に向けた林分発達モデルを作成するため、異なる林相の複層林における下層植生の発達を比較し、上下木合わせた密度管理が下層植生の発達に及ぼす影響を解析する。当年度の研究成果:1)保水容量を四国地域内の既存土壌調査176点で解析した結果、土壌型や樹種など6種類の保水指標の中では、特に土壌母材の違いが影響し、変成岩が堆積岩より土層が深く孔隙量も大きくて、保水容量の量的、質的両面に効果があると推測された。これにより、保水容量に対する森林の影響を立地環境の違いから推測することが可能となった。2)耕作放棄後植林した林分では、林齢が高くなるとともに保水容量、土壌中の炭素蓄積とも増加しており、堆積有機物の分解も保水容量の増加に関与していることが明らかになった。植生は単純放棄地でススキ・ヨシなどの繁茂により遷移が進まないが、植林地では普通造林地に比べて低木が少ないものの種数では差が小さかった。これらの結果は、耕作放棄地に植栽する付加的価値を、客観的に評価する指標として提示できる。3)トレーサー実験から添加窒素の回収率はアンモニア態>有機態>硝酸態で、形態を問わずヒノキ林土壌の回収率がスギ林、広葉樹林土壌に比較して高く、ヒノキ林土壌で窒素保持機能が高いことが示された。竹林の拡大侵入の影響は種数や多様度の低下にみられ、特にモウソウチクではその傾向が顕著であった。一方、侵入移行域では既存植生の上木層が不均一なためバラツキが大きかった。以上から、林分の環境変動に伴う影響の一部を評価することが可能となり、森林管理指針を策定する際の評価基準に資する情報を提供できる。4)複層林では、上・下木を合わせた収量比数が大きいと林内照度が低下し、下層植生の被度、重量や出現種数が減少することが判った。また、一斉林の間伐に伴う下層植生の変化は、間伐直後では種数の増加に現れるが、間伐強度の違いが下層植生の被度増加には現れなかった。これにより、下層植生の発達による林分環境保全機能の維持に向けた林分密度管理の指針策定に情報を提供できる。
カテゴリ 管理システム 傾斜地 評価基準

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