多様な森林構造におけるCO2固定量の定量化

課題名 多様な森林構造におけるCO2固定量の定量化
課題番号 2003004374
研究機関名 森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所
研究期間 継続2001~2005
年度 2003
摘要 多様な森林構造におけるCO2固定量の定量化当年度の試験研究方法:タワーフラックスの長期連続観測を継続しデータを蓄積するとともに、データの精度管理手続きを実施する。標準化された解析手法に基づきCO2フラックスを再計算し、生態系純生産量に及ぼす気候の影響について解析する。観測タワーでの光合成等測定に必要な樹冠アクセス設備の設置および純生産推定のための調査態勢、既存データの確認等を行う。山城サイトでは土壌呼吸の連続観測を継続実施する。鹿北と安比サイトでは、土壌呼吸連続測定装置の試運転と改良を行うとともに、チャンバーを多点に設置し、土壌呼吸速度の空間的変動を測定する。コナラ林において葉群の空間分布を測定し、分布特性を把握するとともに、タワー観測データを用いて群落多層モデルを動かすためのデータを整備する。当年度の研究成果:各サイトの特性を加味した解析を行いつつ観測データを蓄積した。富士吉田サイトでは、年間の生態系純生産量(NEP)の変動は大きく変動幅は3年間で28%となった。季節変動の解析から、気温が高く生態系呼吸量の多い時期にどの程度の日射量が得られるか、また冬季の休眠期間の長短が、年間のCO2吸収量に大きく影響した。同じ常緑針葉樹林でも鹿北サイトでは、冬季の休眠現象はほとんど見られず、3年間のNEPの変動も15%程度にとどまった。冬季及び夏季から秋季にかけての日射量が、NEPの季節変動パターンを変化さる点は同様であった。年CO2吸収量が大きな年々変動を持つこと、季節内変動のパタ-ンが年によって大きく異なることが分かった。安比サイトでは、観測データから日射量、光合成有効放射量とNEPの関係を解析した。NEPに対する貯留変化量の影響は、5月の開葉とともに急激に増大し9月まで斬増した。緑葉季についてCO2吸収量を日射量から推定し良好な結果を得た。山城試験地の渦相関法による2000~2003年の平均NEPは、夜間呼吸量の過小評価補正を行わない場合には-312 gC m-2 s-1であった。一方、生産生態学的手法による1994~1999年の平均NEPは-147 (gC m-2 s-1)であった。渦相関法によるNEPの選択に必要な摩擦速度のしきい値について検討し、28~30cm s-1を得た。このしきい値を用いた場合、夏期は光合成量が大きいにもかかわらず夜間の呼吸量によりキャンセルされ吸収量はほとんどなくなる推定結果となった。光合成・呼吸等のCO2フラックスについて、継続測定しているサイトではデータ蓄積と解析を進め、後発の測定サイトでは樹冠アクセス等の継続測定に向け態勢を整備した。山城サイトでは、土壌呼吸連続観測装置により土壌CO2放出量を測定し、同時に地温や土壌水分を観測した。鹿北・安比サイトでは、連続観測装置を設置するための予備調査として土壌呼吸空間変動を測定した。鹿北サイトでの観測では、CO2放出量は斜面位置による明瞭な違いは認められず、頻度分布は正規分布に近く、5月の放出量は68.0±24.1(平均値±標準偏差)μgCO2/m2/sであった。平坦地形の安比試験地で行ったグリッド観測(49カ所)結果では、フラックスの高い地点、低い地点は季節に関係なくほぼ同じ分布傾向を示した。CO2放出量の分布は樹木の分布と同じ傾向を示し、樹木密度が高いほど放出量が大きかった。鹿北と安比試験地ではこれらの情報を基に土壌呼吸連側観測チャンバの設置場所を決定した。コナラ林における葉群の空間分布特性が明らかになった。先行しているタワーサイトのデータを用い、多層モデルのテスト計算を行うことができた。主要成果として山城サイトで行った「複雑地形上の森林のCO2フラックス特性の解明」が摘出された。
カテゴリ 季節変動

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