再生機構を利用した初期保育技術の高度化

課題名 再生機構を利用した初期保育技術の高度化
課題番号 2003004382
研究機関名 森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所
研究期間 継続2001~2005
年度 2003
摘要 再生機構を利用した初期保育技術の高度化当年度の試験研究方法:1)広葉樹林の天然更新プロセスを把握するために北海道支所羊ヶ丘実験林で継続中の実生・稚樹の発生と成長および種子散布の調査を行った。同じ場所で野ネズミの個体群変動データを得るため5月7月9月に生け捕り調査を行った。また芦別市のミズナラ択伐林試験地で動物によるミズナラ堅果移動の実態を調べるためササ被覆地と除去地との境界周辺に配置した磁石入りの堅果を前年度に続き金属探知器により探索した。2)ツリーシェルター試験地の植栽7年目のシェルター処理木と無処理木の成長と健全度を計測した。また、水気耕栽培によるスギ・ヒノキの苗木を植栽し、普通栽培の苗木と成長を比較した。用いた苗木は島根県産の地スギ、地ヒノキの普通苗木および水気耕栽培苗木、茨城県産地スギ、地ヒノキの普通苗木のそれぞれ2樹種、3種類の苗木を約180本づつ笠間営林所管内の国有林の伐採跡地に植栽し、その成長量を解析した。3)人工気象室で育苗しているアカギを用いて薬剤の注入枯殺試験を行なった。薬剤はグリホサート(ラウンドアップ)、トリクロピル(ザイトロン)およびグルホシネート(バスタ)を用い、定期的に培養液、落葉を、また処理終了後に土壌、植物体を回収し残留している薬剤を分析した。当年度の研究成果:1)下刈り期間における獣害の林木の成長への影響と獣害回避法の効果の解明  羊ヶ丘ではミズナラ、イタヤカエデ、ハリギリ、シナノキの更新初期生存率にササの被覆が負に関係することが示された。しかしササの影響と野ネズミの影響とを分離することは困難と考えられ囲い込みなどの実験的手法が求められる。一方アカネズミヒメネズミエゾヤチネズミの個体密度は調査地で均等化しつつあった。芦別では磁石(散布された堅果)の探索を終了した。最終的な回収率は62.1%で約7対1でササ被覆地に偏りまた被食を免れた堅果はすべて除去地で発見された。ネズミにより多くの散布種子がササ被覆地に引き込まれ捕食されるという従来の見解を支持した。2)育成法の違いによる更新・再生量の把握と有効な省力技術の開発  ツリーシェルターによる植栽7年目の植栽木の樹高成長は、シェルター区が無処理区に対して低い値で推移した。下層植生量はシェルター区で多く、樹高の高い木本が多かった。シェルター区ではヒノキの樹冠幅の狭いことで明るい環境が増え、下層植生が増えたと思われる。水気耕試験では、植栽時および2成長期間後の苗木の器官別重量を測定した。スギでは水気耕苗が普通苗に比べて総重量や地下部重量が多く、地上部/地下部の割合も小さくなっており、苗木の形態に差が見られたが、ヒノキでは水気耕苗と普通苗の差はは大きくなかった。2成長期後の比較では、スギで水気耕苗、普通苗の差は大きく、比較のために植栽した茨城産地スギと比べても特に葉量の分だけ上回っていた。一方、ヒノキでは水気耕苗は普通苗より大きいもの、茨城産苗木に対しては器官別、総重量とも遙かに小さい値であった。初期保育としての下刈り軽減を勘案すると、スギでは樹高の成長率で見たところ、水気耕苗は有意にいずれの普通苗に比べても大きく、成長促進には一定の効果があると考えられた。ヒノキでは成長率に有意な差は見られるもの総重量では差が認められす、その効果は大きくないと考えられた。3)林業用除草剤の環境に対するインパクト評価  薬剤濃度は、苗畑試験で効果が得られた0.1g/kg(薬剤成分量/植物地上部乾重)に設定し、薬剤1種につき1台の循環型自動灌水装置を用いて1日1回培養液を散布し、装置内の培養液を01258192733日後に回収し分析時まで冷凍保存した(12月回収スタート)。また、落葉は試験期間中随時回収し分析時まで冷凍保存した。薬剤分析は既存の方法を用いて同時に行い(2月初め予定)、薬剤間・濃度間差を明らかにする。
カテゴリ 病害虫 育苗 かえで 除草剤 薬剤

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