林業・生産システムの類型化と多面的評価手法の開発

課題名 林業・生産システムの類型化と多面的評価手法の開発
課題番号 2003004390
研究機関名 森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所
研究期間 継続2001~2005
年度 2003
摘要 林業・生産システムの類型化と多面的評価手法の開発当年度の試験研究方法:施業体系図などの施業情報を収集し、施業システムの類型化を行った。システム収穫表LYCSの改善を進めるとともに、列状間伐に対応した収穫予測手法の開発を行った。昨年度に引き続き全国の林業生産ポテンシャルの解析を行うとともに、群馬県桐生市内の民有林を対象にGISを用いた解析を行った。施業計画を多面的に評価するための因子として自然災害リスクや木材価格変動等の不確実性を考慮した手法の開発を行った。当年度の研究成果:施業体系図をふまえ、省力化を考慮した施業体系の類型化を行った。システム収穫表LYCSを改善し、列状間伐林の収穫予測手法を開発した。全国の林業生産ポテンシャルの解析を進めた。自然災害のリスクや価格変動の不確実性を考慮した経営収支のシミュレーション手法を開発した。(1)施業体系の類型化と経済評価手法の開発 ・施業・作業システムの類型化を行うため、施業体系図などの施業情報を収集し、標準的な植栽本数で一般用材を生産目標とする施業体系を、林分密度管理図を用いてまとめた。ここで、スギ、ヒノキでは管理方式を普通型と省力型の2種とし、カラマツは普通型と多間伐型の2種とした。省力型については、個別施業ごとに植栽本数低減や除草剤併用、列状間伐といった省力化のオプションを提示した。・システム収穫表LYCSのプログラムの改善とパラメータの導出を進めた結果、Excelを用いた分かりやすいプログラムとして完成し、秋田、北関東・阿武隈、茨城、千葉、越後・会津、天城、熊本といった7地方のスギ林に対応した。さらに、LYCSを用いた列状間伐林分の収穫予測手法を開発した。これは、占有面積の推移が等しい林木域をブロック化し、そのブロック毎にLYCSを使って成長予測を行うものである。この手法を用い、下層間伐と列状間伐3様式(1伐2残、1伐3残、2伐4残)について間伐回数・間伐率をほぼ同条件として推定した結果、列状間伐の方が下層間伐よりも間伐木の平均胸高直径や材積が大きく予測されるなど、現実の列状間伐で見られる特徴が適切に再現できた。(2)地域における林業生産の多面的評価手法の開発 ・林業生産ポテンシャル評価手法として、GISを用い車両系林業機械の導入適地として、地形傾斜20度以下の地域を抽出した結果、全国のスギ・ヒノキ人工林地域の49%(約300万ha)が適地として抽出された。我が国の平均的な成長量は3.6m3/年なので、これらの適地の林業生産ポテンシャルだけでも、現在のスギ・ヒノキの素材生産量約1,000万m3をカバーすることが試算された。・地域的な林業生産ポテンシャル評価手法の開発を進めるにあたり、群馬県桐生市の民有林人工林(スギ3088ha・ヒノキ1817ha)を対象地とし、樹種、林齢、蓄積、地位、地利、傾斜といった小班情報と地理情報をデータベース化した。これを利用して間伐実行林分と森林簿の傾斜及び林道からの距離との関係を解析したが、明確な傾向は見られなかった。・施業計画の多面的評価手法の検討にあたり、林業経営の財務分析においては費用と収益に基づく評価だけでなく、自然災害のリスクや価格変動の不確実性を考慮した評価と計画が重要であることを示した。このことから、過去の気象災害の解析とシミュレーションを行い、今後の森林気象被害の対象は41年生以上の林分へと変化し、原因として風害が主となることを明らかにした。併せて、スギ・ヒノキの立木価格の変動に自己相関をあることを示し、木材価格変動をふまえた伐採決定に関して、確率モデルを利用したシミュレーション手法を開発した。
カテゴリ 病害虫 経営管理 収穫予測 省力化 除草剤 データベース

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