都市近郊・里山林の管理・利用実態の解明

課題名 都市近郊・里山林の管理・利用実態の解明
課題番号 2003004399
研究機関名 森林総合研究所
研究分担 森林総合研究所
研究期間 継続2001~2005
年度 2003
摘要 都市近郊・里山林の管理・利用実態の解明当年度の試験研究方法:昨年度の近畿地方に引き続き、関東地方の全469区市町村を対象として、「自治体における里山林保全の取り組み状況」についてのアンケート調査を行う。また、前年度に行った近畿地方の同アンケート調査の結果、独自の取り組みがあると回答した自治体についてフォローアップ調査を行った。滋賀県志賀町守山および栗原を対象として優占樹種による土地被覆と土地利用の把握を行うために,5万分の1地形図のGISデータベースを作成した。GISによる解析ならびに現地聞き取り調査を統合し,1930年代における里山林の地況,集落を基点とした空間分布,所有形態などの特徴を明らかした。平成11~13年度に実施された林野庁「森林資源モニタリング調査」のデータベースから、集落からの距離が3km未満で、更新方法が萌芽または天然下種のプロットを抽出して解析する。解析対象は関東地方の1都6県(約90プロット)、近畿地方の2府4県および三重県(約180プロット)とした。プロットの林分統計量は胸高直径5cm以上の生立木について集計した。都市近郊・里山地域に存在する森林組合において森林情報の精度・正確さについて検討する。当年度の研究成果:関東地方7都県469区市町村を対象とした里山林アンケート調査の中で、南関東4都県181自治体分の解析の結果、都市化地域において里山保全管理活動が活発に見られる一方、その外延地域での里山保全管理活動への取り組みは自治体も地域住民も低調である傾向がみられた。昨年度の近畿地方と同様、関東地方7都県の469区市町村を対象として、郵送方式による「自治体における里山林保全の取り組み状況」アンケート調査を行い、H15年12月末現在、277自治体からの回答を得た(回答率59%)。ほぼ集計の終わった南関東4都県の181自治体について解析を行った結果、都市化地域において里山保全管理活動が市民の意向も受けて活発に見られる一方、その外延地域では廃棄物投棄などの問題が存在するにもかかわらず里山保全管理活動への取り組みは自治体も地域住民も低調であることが明らかになった。近畿地方における昨年度のアンケート調査のフォローアップを行った。林業が活発な和歌山県中辺路町では、「集落周辺環境整備事業」から発展した「里山整備事業」が展開されている。このことは林業地帯において人工林の木材生産も「里山整備」の目的の一つとなりうることを示している。これに対し大阪府岸和田市ではボランティアが地方自治体の関与、指導の下で推進していることが大きな特徴である。1930年頃の志賀町守山集落では「割山」と呼ばれる個人山と集落の共有林を集落の戸数で平等に分配し地上権は個人に属する管理形態がみられた。同年代の栗原集落では標高500m以上に分布するミズナラ林は集落の共有林、山頂上付近では屋根材用のススキを得る茅場が存在していた。このように集落からの距離や所有形態に応じて生活に供する資源が分布し,居住地を中心として一つのまとまりある里山の空間構造が明らかになった。広葉樹二次林の林分構造の解析から近畿地方と比べ関東地方のほうがやや成熟した林分が多いと推定された。優勢な樹種は関東地方ではミズナラ、近畿地方ではアカマツとコナラであった。両地方とも、都市近郊・里山林の木材資源量を十分な精度で推定するには、林齢だけではなくその他の説明変数を導入する必要があることが分かった。また、都市近郊・里山地域の既存森林情報である図面と帳簿との不突合を検討した結果、30%以上も存在していた。この不突合は、他の地域と比べ、かなり多いことが明らかになった。
カテゴリ データベース モニタリング

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる