課題名 |
環境適応手段として樹木が生産する各種成分の探索と機能の解明 |
課題番号 |
2003004447 |
研究機関名 |
森林総合研究所
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研究分担 |
森林総合研究所
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研究期間 |
継続2001~2005 |
年度 |
2003 |
摘要 |
環境適応手段として樹木が生産する各種成分の探索と機能の解明当年度の試験研究方法:1)日本産広葉樹種子20種をそれぞれ粉砕し、粉砕物そのものから溶出する成分あるいは溶媒抽出物の植物成長制御活性について検定用種子(radish, lettuce,alfalfa)を用いて検定した。クスノキ種子の活性本体を検索するために、種子粉砕物を溶媒抽出(n-ヘキサン、エタノール)し、さらにシリカゲルカラム等で活性画分を分離し、それらの活性を検定した。また活性画分をGC/MS等の機器分析に供し、含有成分を特定した。2)日本産広葉樹種子20種からn-ヘキサン、エタノール抽出物を調製し、これらに対してDPPH(ジフェニルピクリルヒドラジル)を用いたラジカル捕捉活性試験、およびリノール酸を用いたチオシアン酸鉄法による抗酸化性の評価を行った。また、これまでに抗酸化性が判明している針葉樹種子抽出物に関してFolin-Denis法によるフェノール性化合物量の定量、フェノール硫酸法による糖含量の測定を行い、得られた値と抗酸化性との関連を調べた。当年度の研究成果:日本産広葉樹種子に含まれる成分の植物成長制御活性及び抗酸化活性を検討し、それぞれ活性の強い樹種を見出した。植物成長抑制活性についてはクスノキ種子から活性物質を見出した。抗酸化活性についてはいづれもエタノール抽出画分に強い活性があること、含まれる抗酸化性成分には活性の発現機構の点で多様性があることがわかった。以上の成果は、樹木の植物間相互作用や酸化的ストレス等の自然環境要因に対する適応機能を解明するためのシーズとして活用できる。1)日本産広葉葉樹20種の種子粉砕物の内、植物成長抑制活性の顕著なもの(幼根成長率がコントロールに対して50%以下)は、トウカエデ、コマユミ、ニシキギ、サカキ、ムクロジ、トチノキ、アオギリ、エゴノキ、ネズミ、モチ、ヤチダモであった。昨年度、抑制活性が顕著であったクスノキ種子について活性本体を検索したところ、n-ヘキサン抽出物に顕著な活性が見出された。さらにn-ヘキサン抽出物の構成成分を分析したところ、Decanoic acid(C10),Dodecanoic acid(C12)がそれぞれ48%,45%検出され、全体の93%を占めていた。これら2成分それぞれの抑制活性を検討したところ、Decanoic acidに顕著な抑制活性が認められた。2) 使用した広葉樹20種の種子いずれにおいても、エタノール抽出画分に抗酸化活性が集中していた。カエデ科およびブナ科の種子において、リノール酸法とDPPH法に共通して高い活性が認められた。ブナ類の高活性は含有成分のタンニンの寄与が予想される。しかしながらその他の樹種ではどちらかの方法でのみ高活性が検出される場合があり、含まれている抗酸化性成分の反応の様式などに多様性があることが示された。針葉樹種子抽出物のフェノール性化合物量は、特にDPPH法で評価した抗酸化活性の強さと比較的良い相関があった。一方、糖含量に関しては抗酸化活性との明確な相関は見られなかった。
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カテゴリ |
かえで
くり
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