加工・業務用需要に対応した国産野菜の生産・供給体制の構築に関する研究

課題名 加工・業務用需要に対応した国産野菜の生産・供給体制の構築に関する研究
課題番号 2005006672
研究機関名 農林水産政策研究所
研究分担 農林水産政策研究所 地域振興政策部 地域経済研究室
研究期間 新規2005-2006
年度 2005
摘要 野菜の輸入は加工・業務用を中心に増加している。このため,平成17年度から開始された野菜の新構造改革においては自給率の向上を図るため,加工・業務用需要における国産野菜のシェア奪回を重要課題として位置づけている。本研究の課題は,加工・業務用需要に対応した国内生産・供給体制の構築に必要な施策の充実・検討に資するため,シェア奪回すべき品目・用途やそのために必要な産地対応方策等を明らかにすることにある。17年度は,ヒアリング調査等をもとに,実需者からみた家計消費用と加工・業務用における基本的特性の相違や,主要品目別の基本的対応方向について当該品目の輸入の特徴等の分析を踏まえながら明らかにした。その主な点は下記のとおりである。第1に,家計消費用と加工・業務用における基本的特性の主な相違点として次の点をあげることができる。品種・規格等の品質内容については,家計消費用では特に外観が重視されるのに対して,加工・業務用では用途に応じて求められる特性は多様であり,たとえば,カット野菜・冷凍野菜の原料では加工歩留まりを高めるための大型規格,加熱調理用では水分含有量が少ない品種,ジュース用では製品段階での色や食味等が重視される。また,内容量については,家計消費用では小売段階における1個当たりの原価計算をしやすくするため1ケース当たりの個数が重視されるのに対して,加工・業務用の場合,歩留まり計算を行いやすくするため1ケース当たりの重量が重視される。さらに,数量や仕入価格の変動に対する対応をみると,家計消費用の場合,不作等で出荷量が少なく価格が高めで推移している時などは,1/2カット,1/4カット等の販売単位の変更による弾力的な対応が可能であるが,加工・業務用の場合,外食・中食メニューの短期間での変更は困難であること等により,その仕入行動は,量販店等の小売店に比べて非弾力的であり,周年安定供給や月間・シーズン・年間1本価格等の中・長期的な安定価格に対する要求が強い。第2に,主要品目別の主な対応方向として次の点を指摘することができる。たとえば,たまねぎについては,カット野菜向け等の大玉たまねぎの低コスト供給(適性品種の開発と大型規格の高単収栽培による低コスト化)および府県産たまねぎの加熱用途向け品質改善が,ほうれんそうについては,冷凍原料用や業務用加熱調理用として40cm程度の大型規格の高単収栽培による低コスト供給が,キャベツについては,特に4~5月に不足している国産「寒玉」キャベツの低コスト供給等が,それぞれ加工・業務用需要への対応強化の方向として重要である。わが国の野菜産地の多くは,これまで家計消費用野菜の卸売市場流通による供給を中心に行ってきた。しかしながら,主要野菜においては加工・業務用需要が過半を占めるとともに,この需要と輸入品との結びつきが強まっている。このため,加工・業務用需要への国内対応の強化はきわめて重要な喫緊の課題として位置づけられるのであり,家計消費用とは異なる加工・業務用需要の基本的特性や品目ごとの輸入の特徴等を念頭に置いて,低コスト化はもとより,用途別ニーズに対応した品種・規格等による生産や産地間リレーによる周年安定供給等に取り組む必要がある。
カテゴリ 加工 キャベツ 経営管理 出荷調整 たまねぎ 低コスト 品種 ほうれんそう 良食味

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