課題名 |
(8)放射線利用による新形質突然変異素材の開発 |
課題番号 |
200709631 |
研究機関名 |
農業生物資源研究所
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研究分担 |
放射線育種場,(基盤)
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研究期間 |
2006-2010 |
年度 |
2007 |
摘要 |
1.glu1突然変異が、近傍に重複する遺伝子GluB4/B5に生じた129.7kbの塩基欠失であることを明らかにした。Lgc1突然変異体も同一領域に生じた3.5kbの欠失が原因であるが(Kusaba et al. 2003)、両突然変異体は全く異なる表現型と優劣性を示し、誘発される欠失サイズと位置の違いが、突然変異の表現型に大きく影響することを示した(図1)。イネ遺伝子の14%は重複し、タンデムに存在することから、このような遺伝子の変異誘発や機能解析のためのノックアウト個体作成にガンマ線照射が有効であることを立証した。2.「コシヒカリ」へのガンマ線照射で作出したグロブリン欠損突然変異体「GbN-1」は低蛋白米品種「エルジーシー潤」と「エルジーシー活」の親系統となり、その有用性が証明されているが、この突然変異体はαグロブリン遺伝子を含む領域に約63kbの欠失が生じていることを明らかにした。さらに、判別可能なPCRマーカーを作成し、F2 個体において、遺伝子型と表現型が完全に一致することを確認した。また、Lgc1突然変異についても同様にPCRマーカーを作成し、「GbN-1」と「LGC1」を同時に交配親に用いた新たな低グルテリン・αグロブリン欠失品種の育成に有効な共優性マーカーが作成され、今後、品種育成や品種鑑定において実用性の高い技術が構築できた。3.「コシヒカリ」アミロース突然変異系統/「コシヒカリ」の交配後代F3からアミロースライブラリー(NILs)を育成した。また、「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「ヒノヒカリ」及び「あきたこまち」の突然変異集団から低アミロース突然変異体候補の一次選抜を行った(表1)。4.サイレントミューテーションの探索について、昨年度に検出した「日本晴」由来のGluA3遺伝子のサイレントミューテーションを「コシヒカリ」と「ひとめぼれ」に導入するために交配を行い、F1種子を得た。5.イネ植物体へのガンマ線緩照射M3系統における葉緑素変異の突然変異率は9.2%であり、種子にガンマ線250Gyを急照射した突然変異率(6.4%)よりも変異率が高いことを明らかにした。6.ソバにおいて、高ルチン成分で選抜した「06E-1」のルチン含量は原品種の「牡丹そば」の約3倍となり、さらに抗酸化能も向上した(表2)。また、抗酸化能で選抜した「06-E2」の抗酸化能は「牡丹そば」の約1.5倍で「06E-1」よりも抗酸化能が高かった。さらなる選抜によってより有望な個体も得られた。7.チャにおいて、選抜系統「E2-03」の抗酸化能のあるメチルエピガロカテキン含量が「おくみどり」の約2倍、「E2-07」が同1.6倍であり、有望と考えられた。また、低カフェイン有望系統「D6-05」が「やぶきた」よりも40%低くなっていることが確認された。8.ソルガムにおいて、供試4品種でガンマ線感受性の差を明らかにした。また、ガンマ線照射M2集団からbm(無ワックス)の個体や多数の早生系統が得られ、バイオマス原料用の育種においてもガンマ線照射が有効であることが示唆された。9.ばら(ひたちスマイル;第15714号)と(ひたちスマイル;第15714号)の登録が完了した。10.メンデルが遺伝解析に用いた緑色エンドウの遺伝子をイネのガンマ線突然変異体の中から発見した成果をプレスリリースした。
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カテゴリ |
育種
そば
ソルガム
ばら
品種
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