摘要 |
目的:米の豊作や予想を上回る消費の減退と景気低迷等の影響で、米に対する消費者・実需者の低価格志向が強まり、自主流通米価格が低迷している一方で、消費者・実需者ニーズの多様化、高品質・良食味米への需要が拡大している。そこで、本県が今後とも米の主産地として産地間競争にうち勝ち、安定的な地位を確保していくため、消費者ならびに実需者ニーズの変化に迅速に対応し、有機栽培や減農薬栽培に適した、市場性の高い全国トップレベルの高品質・良食味や有色素や巨大胚などの新形質を有するオリジナル水稲品種を開発する。そのためには奨励品種決定調査の供試系統となりうる有望系統を選抜する。到達目標:ア 育成系統の熟期、草姿、収量性を明らかにするとともに、各種特性検定の結果等を総合的に判断して有望な系統を選抜する。イ 生産力検定予備試験では、前年度までに選抜してきた系統の収量性を初めて明らかにする。さらに有望な系統を選抜して岩番号を付し、次年度の生産力検定本試験に供試する。ウ 生産力検定本試験では、次年度奨励品種決定調査の供試材料として配布しうる有望な系統(岩手番号)を選抜する。予定成果(初年目):・次年度の本試験に供試する系統の選抜・新配布系統の選抜(20年目)期待効果:本研究室からの配布系統の中で、消費者・実需者のニーズに適う競争力のある系統が奨励品種として採用され、本県の米産地としての地位の確立が期待される。成果:・「かけはし」は平成5年の大冷害年においても、耐冷性の強さや食味の良さを発揮して、作付け地帯である県北、山間地産米の評価を高めた。・「ゆめさんさ」は「あきたこまち」よりやや遅い熟期の良食味品種として、平成4年に県奨励品種として編入された。 ・「いわてっこ」は平成13年度に県奨励品種に編入された。耐冷性、耐病性に優れた良質、良食味の早生品種として作付けが拡大している(H13年25ha→H14年806ha)。・「吟ぎんが」は「美山錦」に比較して耐冷性、心白発現、粒揃いなどの外観品質、酒造適性に優れ、実需者、生産者双方の要望に応える酒造好適米として作付け面積が拡大してきた(吟ぎんがH11年8ha→H14年114ha・美山錦H11年40ha→H14年19ha)。 ・「ぎんおとめ」は早生で、「美山錦」並の醸造特性、酒質をもち、純米酒・本醸造酒向けの県北地帯に向く酒造好適米として作付けが拡大している(H13年37ha→H14年60ha)。・「もち美人」は「ヒメノモチ」よりも、耐冷性、耐倒伏性、穂発芽性に優れ、できた餅の色が白く食味に優れる糯品種である。熟期が「ヒメノモチ」よりもやや遅いために、作期分散が可能であり平成14年度に県奨励品種に編入された。
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