ロングマット水耕苗の低コスト効率的育苗・移植技術の開発

課題名 ロングマット水耕苗の低コスト効率的育苗・移植技術の開発
研究機関名 岩手県農業研究センター
研究分担 水田作
研究期間 新H15~17
年度 2003
摘要 目的:寒冷地大区画ほ場における水稲の省力化技術として、国で開発したロングマット水耕育苗・移植技術を基本とした省力化技術に関する研究をこれまで実施してきたが、低コストで効率的な育苗移植技術の開発等問題点が残されている。到達目標:(ア) 安価な育苗ベットの開発 (イ) 7日程度の苗貯留技術の開発と苗品質保持技術の開発(ウ) 移植精度向上技術(欠株率5%以下、苗損傷率10%以下)の開発予定成果(初年目):・安価な育苗ベットの開発と問題点の抽出・理想的なロングマット水耕苗育苗法の開発成果:(1)ロングマット水耕育苗マニュアルの作成(平成12年度 岩手農研セ、長野総農試)(2)ロングマット水耕苗移植技術(平成14年度 岩手農研セ 指導成果)(3)市販の安価ベット(ガルバニウム鋼製)では、肥料の種類により生育に大きく影響が出る(平成14年度岩手農研セ)成果要約:水耕育苗における品種の適応性については、岩手県の主要品種4品種についての適応性が認められた。種子消毒剤の実用性については、スタ-ナ水和剤単剤の消毒(湿粉衣、浸漬)で根の褐色化と強い草丈伸張抑制が見られた。ベンレ-ト水和剤、ヘルシ-ド水和剤の湿粉衣法で若干の生育抑制、発根抑制が見られたが、マット形成には影響がなかった。ベンレ-トTを含む他剤での薬害は特に認められず実用性が認められた。H14年からベンレ-トTの使用中止に伴いテクリ-ドCフロアブルの低濃度長時間浸漬で消毒を行ったが、薬害は認めらず、実用性が認められた。慣行資材に代わる安価な養液資材の検討については、硝酸態窒素中心の水耕栽培用肥料「大塚1号+大塚2号」のみでは葉色が淡く根が伸長しないが、アンモニア態窒素中心の「健太郎」を加えることで慣行稚苗並みの苗が得られたことから基本養液として決定した。EC2~4dS/m程度の高濃度養液一発施肥の実用性も高いことが明らかになった。また、慣行養液に代わる安価な資材については、養分吸収によるpH変化の小さい養液栽培用資材を用いる必要があることが明らかになり、基本養液以外では,市販の養液栽培用液肥(ハイスピリットAx,By)により慣行と同等の移植苗が育苗できた.しかし、この養液ではガルバニウム鋼材ベッドを使用した場合、育苗後半に葉が黄化して根が伸びないなど生育に悪影響が見られた。省力的な養液管理方法については、循環用タンクに併設して補給用タンクを設けることで、2~4日おきの省力的な養液管理が可能であった。また、養液タンクを2段に組み合わせた方式(下段タンクからECの低い養液をベットに供給し,下段タンクの養液の減少に応じて,上段タンクよりECの高い養液が下段タンクへと供給される方式)では,ベットに供給される養液のpH・ECが比較的安定し,慣行と同等の苗質の苗を育苗できることが明らかになった。水耕育苗における温度条件については、寒冷地での4月、5月育苗では、電熱ヒ-タを用いた 養液加温育苗を行うことで、14~20日育苗で草丈10cm~13cm、葉齢3葉程度の苗の作出が可能である。長さ0.6mのショ-トベットで水耕液の適温を検討した結果、2週間育苗を目標にした場合の苗質確保には、昼28℃、夜25℃の温度条件が適していることが明らかになった。草丈と最低水温の積算値との関係から、最低積算水温230℃で草丈8cm、最低積算水温260℃で草丈10cm、最低積算水温300℃で草丈12cmの苗が得られることが明らかになった。また、葉齢と最低水温の積算値との関係から、概ね最低積算水温200℃以上で2葉となり、最低積算水温250~300℃で3葉程度となり、それ以上の温度確保があっても葉齢の増加は認められないことが明らかになった。簡易な巻き取り手法の開発については、中央農研センタ-(総研2チ-ム)開発の巻き取り補助装置を用いた巻き取りは延べ時間で慣行巻き取りのおおよそ1/3~1/4で巻き取り可能であった(2人作業が1人で作業可能になった)。巻き取り苗の貯留条件と本田初期生育については、常温(室内:日中最高25℃、夜間最低10℃)でも1日1~2回の十分な灌水条件で貯留することにより、8℃高湿条件貯留と同程度の活着、初期生育が得られることが明らかになった。ロングマット水耕苗田植機の作業精度向上技術については、Y社製ロングマット苗専用田植機の植え付け性能は高いが、苗押さえ装置が特殊で取り扱いに問題があった。苗押さえ装置の効果と必要性は高く評価できた。総研2チ-ム開発の苗押さえ装置は苗損傷、機械的欠株の発生抑制に大きな効果が認めらることが明らかになった。ロングマット苗における箱施用剤を使用した病害虫防除の可能性については、現地に普及している殺虫殺菌剤2種(ウィンアドマイヤ-箱粒剤、Dr.オリゼプリンス粒剤)の、ロングマット苗に移植時施用した場合の薬害は認められず実用性が認められた。しかし、登録外使用になることから、今後中央農研センタ-を含めて検討することとしている。水稲除草剤の使用による生育への影響については、ロングマット水耕苗において10~13cmの苗は植え付け深を4~5cmにしても根の露出、損傷苗の発生、浮き苗が多く発生する条件ではプレチラクロ-ル、カフェンストロ-ル含有剤の施用は薬害を多く発生することが明らかになった。本田における施肥法については、慣行の土付き苗と同様の施肥法で十分であると判断された.また,緩効性肥料(LP100)を用いることにより,慣行と同等の収量を維持しながら,本田での追肥を省略できることが確認された.残された問題:寒冷地において安定的にベッド2回転利用しての水稲水耕苗栽培については、安定して移植適期内で作業できるようにする必要があることから、7日程度以上の貯留技術について検討することとする。植え傷みの少ないロングマット水耕苗の作出は手探りで可能であったが、水耕苗の生理生態と理想苗作出に関与する条件(温度、日照、養液管理法等)が不確定であることから、このことについて検討する。
研究対象 水稲
専門 栽培生理
部門 水稲
カテゴリ 肥料 病害虫 育苗 くり 種子消毒 省力化 除草剤 水稲 水耕栽培 施肥 低コスト 病害虫防除 品質保持 品種 養液栽培

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