摘要 |
目的:アネモネは冬期間の長期出荷品目として取り入れられており、沿岸地域の夏期冷涼、冬期温暖な気象条件を活用でき、また省力的品目と考えられる。しかし、現在の作型では、3月上旬は種、いったん鉢上げ後、6月定植で、11月から出荷となっており栽培期間が長く、施設を占有するため、沿岸地域の農家の狭隘な耕地で、十分に施設面積を持たない条件の中では導入しがたい現状である。また、土壌病害や連作障害の発生、さらに、前後作の品目として組み合わせのできないものがあり、作付け品目が限られる場合がある。そこで、沿岸地域の夏期冷涼、冬期温暖な気象条件を最大限に活用した好適育苗・養成技術と移動可能なコンテナ利用によるアネモネ栽培技術の確立により、春から夏期の前作終了までの期間をハウス外で株養成し、秋にハウス内に移設して栽培を開始することにより施設の効率的利用と農家の冬春期の所得向上を図ることを目的とする。到達目標:(ア)コンテナ栽培における育苗・養成方法を明らかにする(イ)コンテナ栽培におけるハウス栽培開始時期を明らかにする(ウ)コンテナ栽培における栽培管理技術を明らかにする予定成果(初年目):・コンテナ利用における播種時期、定植時期、定植本数による生育反応が明らかになる ・培地による生育反応が明らかになる期待効果:施設の占有期間の短縮により他品目との組み合わせが可能となり、施設の効率的利用による農家の所得向上が図られる成果:(1)アネモネの高標高地からのリレー栽培の検討において、4月25日播種、6月15日鉢上げ、7月16日パイプハウス内定植の作型で、切花開始はいずれの品種も高標高地で栽培した区でかなり早くなり、12月末までの切花本数も多くなった。(平成10年長野南信濃試)(2)高標高地からのリレー栽培の検討において、アネモネをトレイに定植し、高標高地の大鹿村で7月下旬から9月上旬までの夏期間栽培を行った後低標高地に移動して栽培を行うことにより、低標高地において9月下旬から切花が開始でき、年内の切花本数が増加し、切花品質も向上した。(H9長野野菜花き試) (3)アネモネトレイ栽培の施肥方法の試験において、施肥量はトレイ当り、多肥の10gがよく、施肥方法は固形または液肥、培土量は深さ15cmが切花本数、切花品質の点で適していた。(H9長野野菜花き試)(4)夜冷育苗における夜冷温度および日中遮光率の検討において、夜冷処理でアネモネの育苗を行うには、夜冷温度16℃、日中遮光率50%で90%以上の成苗率が得られる。さらに、年内収量や品質の向上を図るには、ブルーは夜冷温度を13℃程度に下げ、ホワイトは遮光率を80%にあげることが良いと考えられる。(平成8年愛媛農試)
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