課題名 |
寒冷地水田での肥効調節型肥料を用いた秋施肥の実用化 |
研究機関名 |
岩手県農業研究センター
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研究分担 |
営農技術
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研究期間 |
完H13~15 |
年度 |
2003 |
摘要 |
目的:米の価格が低迷し、農業労働力が減少するなかで、水稲作業時間・作業強度を大幅に低減して、他の収益性の高い分野へ労働力を振り向ける必要がある。肥効調節型肥料を用いた秋施肥は、秋の比較的農閑期に肥料を施用しておくことで、春先の労力を分散し、肥効調節型肥料を用いることで代かき・落水時の河川等へのN・リン負荷軽減を図り、稲わら腐熟促進肥料や、ケイ酸・リン酸・塩基補給が一回の施肥で済む可能性を持っている。岩手県においても北上市等を中心に試験栽培が行われており、省力性・収量等で実用化の可能性が認められている。到達目標:(1)県北部での秋施肥栽培水稲の生育推移から肥効調節型肥料の望ましい溶出パターンが明らかにされる。(2)秋施肥の省力効果等の評価が行われ、実用可能性の評価がおこなわれる。 (3)年次別予定成果成果:(1)長野、山形、宮城県等で被服尿素を用いた秋施肥が検討され、その生育の特徴や適合する溶出タイプ等が明らかになっている。被服尿素の100日タイプ程度を中心に試験が行われており、生育の不安定さは残るものの、省力化を考えた場合実用可能との判断を下した例が多い(平成9年~11年長野県、山形県、宮城県他)。(2)岩手県では、稲わら腐熟促進や土壌改良資材との同時に肥効調節型肥料を施用する全施肥一回施用の考え方で省力性を重点とした試験栽培が北上市を中心に行われている。岩手県では減肥は難しいものの、生育・収量に問題は少なく、省力性を重点に置いた場合の実用化の可能性は認められている。ただし、被覆尿素を用いていることからコストの問題点は残る他、環境に与える影響の解明や、安定した品質・収量を確保するためのデータの積み重ねが必要である(平成12年岩手県農業研究センター)。(3)育苗箱に被覆尿素を施用して、本田には窒素肥料を施用しない箱施肥の試験が県北の軽米町において実施された。育苗箱のマット形成がやや劣り、移植精度は慣行に比較して劣った。栽植密度によって施肥窒素量が変わることから、慎重な移植期の調整が必要であった。試験年次は高温年となったが、慣行の本田施肥栽培においては稲体の窒素濃度の低下が著しく、m2籾数の低下を招いた場合でも安定した肥効が認められ、葉色の低下が少なく、m2籾数も生育診断指標程度に確保され、品質・玄米窒素濃度、食味官能試験、いずれにおいても問題なかった(平成10~12年県北農業研究所)。
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研究対象 |
水稲
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専門 |
土壌肥料
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部門 |
水稲
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カテゴリ |
肥料
育苗
コスト
省力化
水田
水稲
施肥
土壌改良
土壌管理技術
良食味
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