りんご紫紋羽病の発生実態と新たな防除法の開発

課題名 りんご紫紋羽病の発生実態と新たな防除法の開発
研究機関名 岩手県農業研究センター
研究分担 病理昆虫
研究期間 継H14~16
年度 2003
摘要 目的:リンゴ紫紋羽病は,古くから発生している土壌伝染性の難防除病害である。近年行われている改植により土壌中の微生物相は撹乱されるため、本病の再発が懸念される。本病に対する防除は、農薬潅注、土壌改良資材の施用などの抑止策がとられてきたが、効果的で永続性のある環境にやさしい防除法の開発が求められている。本研究では、リンゴ紫紋羽病の新たな防除法の確立を目的として、県内における紫紋羽病の発生実態および病菌の特性を明らかにするとともに、新たな各種防除法(耕種的防除、生物防除、薬剤防除)の可能性について検討する。到達目標:(1)紫紋羽病の発生実態が明らかになる。 (2)県内から分離される紫紋羽病菌の特性が明らかになる。 (3)各種台木の感受性の差異を用いた耕種防除の可能性について知見が得られる。(4)新しい殺菌剤を用いた薬剤防除の利用可能性が明らかになる。弱病原性紫紋羽病菌を用いた生物防除の可能性について知見が得られる。成果:1)??発生生態および総合防除法 (i)本病の生態および総合防除法については,1986-1989年まで地域重要新技術開発促進事業において,リンゴ産県で共同研究が行われ,東北地域重要新技術研究成果No.9(リンゴわい化栽培における多発生病害の総合防除法)に取りまとめられた。(ii)地際部発病の有無を把握する方法は,本病の早期発見や病原菌の動向を把握するのに有効である。(仲谷ら(1989)北日本病虫研報)(iii)樹枝挿入法を用いることにより,土壌中の紫紋羽病菌を捕捉することができる。(仲谷(1989)日植病報)(iv)アンバム液剤とカニ殻発酵資材の併用処理は地際部発病の抑制効果の持続が認められる。圃場条件や管理の良い園地では処理3年半後でも再発が認められないが,管理不良園では処理2年半後に再発した。(赤坂ら(1995)北日本病虫研報)2)??耕種防除Mark台木はM26、マルバカイドウおよびふじ実生に比較して発病程度が少なかった。(勝又ら(1998)日植病報) 3)??生物防除 (i)近年,海外では植物病原糸状菌に寄生するウイルスが作物の病害防除に利用されている。糸状菌に寄生する二本鎖RNAウイルス(以下dsRNAと表記する)の中には,感染した糸状菌を「病気」にして弱らせるものがある。このdsRNAは,クリ胴枯病菌で初めて発見され,実際に欧米でクリ胴枯病の生物防除に利用されている。紫紋羽病防除に対してもdsRNAの利用が提案され,現在「果樹類紋羽病の遺伝子治療」というテーマで独立行政法人農業環境技術研究所,果樹研究所,広島県立大学が参画し,プロジェクト研究が行われている。(ii)上記についてこれまでに、病原性が低下したdsRNA感染白紋羽病菌株や、リンゴに対して病原性の低い紫紋羽病菌株(サツマイモ由来)が取得されている。また、本県の樹木に寄生する紫紋羽病菌でもdsRNAに感染しているものがあることは明らかにされている。(松本(2000)北日本病虫研報、松本(2000)日植病報)
研究対象 リンゴ
専門 病害
部門 果樹
カテゴリ 病害虫 改植 くり 台木 土壌改良 農薬 防除 薬剤 りんご わい化

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