摘要 |
登録品種、ダイズ及びムギ類のブランド性維持、育成者権保護の立場及び種子の生産と配布の体制を適正に管理するため、品種識別技術を開発する。 育種を効率化するため、重要形質に関連するDNAマーカーを開発する。イチゴでは、四季成り性、ランナー発生数や病害抵抗性等、ユリでは小球開花性、花色等、キクでは白さび病抵抗性に連鎖する各DNAマーカーを開発する。 園芸作物の各種ウイルス性の病害に対し、ウイルスの同定、現地ほ場レベルで対応可能な簡易診断技術及び正確で感度の高い遺伝子診断技術を確立する。さらに、形質転換体のウイルス病の抵抗性検定等の評価を行う。 ソラマメ、セリ、ダイズからPCRを行うのに十分な純度のDNAを抽出する。ランダムマーカー等を使用し、品種間の差が得られるか検討する。 県内各地の現地ほ場でのソラマメえそ条斑症状及びキュウリ急性萎凋症状の症状の被害株率の調査、病原ウイルスの分離、宿主範囲調査、遺伝子解析等による性状解析を行う。 LMoV外被タンパク質遺伝子導入ユリ及びTSWV、CMV-1、CMV-2、BBWV-2遺伝子導入トルコギキョウの形質転換体の自殖次世代にウイルスを接種し、病徴・ウイルス増殖等を調査する。 品種識別技術の利用により、生産から販売流通の間で各生産物の信頼性が高まる。種子生産、生産物の流通、食品分析を行う各関係機関等にダイズ、ムギ類、ソラマメ、セリの品種判別技術を技術移転する。得られた重要形質DNAマーカーにより育種計画に基づく交雑確認とマーカー選抜を行い、イチゴ、ユリ、キクの育種を効率化する。ソラマメ、キュウリのウイルス病害についてはほ場レベルで使用可能な診断キットを開発し、その使用法を普及センター等に講習し生産者の的確な防除に役立たせる。また、遺伝子診断法については、普及センター等からの診断要請に応じ、本研究所において高感度・高精度診断に用いる。 ウイルス病の症状、伝搬様式及び防除方法については、ホームページ、研修会等で普及センター、生産者に周知する。 LMoV抵抗性ユリが確認されれば、環境安全性評価を行い、ウイルス抵抗性品種としての実用性の検討、また、育種母本として利用する。4種ウイルス抵抗性トルコギキョウは環境安全性評価の後、育種母本として利用する。
|