課題名 |
肉用繁殖牛のリハビリ放牧と乳用牛の超集約放牧を組み合わせた新たな複合放牧技術の確立 イ、乳用牛の超集約放牧技術の確立 (2)繁殖管理の省力化及び受胎率向上技術の実証 |
研究機関名 |
山形県農業研究研修センター畜産研究部
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研究分担 |
乳牛研究科
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研究期間 |
継H13~16 |
年度 |
2003 |
摘要 |
目的:超集約放牧技術が草地試験場で体系化されているものの、本県の気象環境や現状の放牧管理体制に適応しないところもあることから、本県版超集約放牧技術を実証的に確立し体系化することが急務となっている。その一課題として、放牧場における人工授精作業の省力化と初産分娩月齢の早期化を図るため、オブシンク(排卵同期化)による定時授精の受胎性を検討するとともに省力効果や経済性を調査し、公共牧場における省力的繁殖技術として体系化する。方法:(1) 供試牛は、農家預託の乳用育成牛90頭で、その内訳は、平成13、14年(入牧時月齢11~15か月)、15年(入牧時月齢11~17か月)、各30頭を用いた。(2) 放牧は、平成13、14、15年とも4月下旬から10月下旬までの189、188、190日間、当畜産研究部芦沢放牧試験地で行った。(3) 試験は、入牧4週目からオブシンクプログラム(図1)に従って実施した。受胎確認は、人工授精(AI)後35日目に超音波診断装置を用い胎子を確認したものを受胎とした。また、不受胎牛は、発情が回帰する度にAIし、最終的な受胎性を検討した。(4) 発情は、発情徴候やヒートマウントデイテクターの観察及び直腸検査により確認した。(5) 試験区は、1回目の性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)投与から6日目にプロスタグランジン(PG)F2αを投与するday6区、7日目にPGF2α を投与するday7区、CIDR(イージーブリード)とPGF2αを併用したCIDR区、day7区とCIDR区を組み合わせた併用区の4区とした。各区の年度ごとの供試頭数は表1のとおり。なお1回目のGnRH投与量は、平成13年度のday6区のみ50μgとした。また平成15年度の試験牛のうち治療のため下牧し、治癒後再入牧した2頭は、処理せずAIした。 GnRHPG F2α GnRH AI day6区●-----------6日-------●------約55時間----●--約18時間---● 100μg 25mg100μg day7区●-----------7日------●-------約48時間---●--約18時間---● 100μg 25mg100μg CIDR区 CIDR挿入-----------CIDR除去--------------------------------発情・AIPG F2α25mg併用区(day7区+CIDR区) 図1.各試験区の処理方法(プログラム)結果の概要:(1)オブシンク定時授精試験成績1) 平成13~15年の受胎率の成績をまとめると、day6区10%(2/20)、day7区47%(16/34)、CIDR区30%(6/20)、併用区36%(5/14)で、day7区、併用区、CIDR区、day6区の順で、day7区の受胎率が他の区に比較し、高い傾向であった。2) 発情発現したもので、ヒートマウントデイテクターの赤変したもの、即ちスタンデイング発情を示したものは、day6区12頭、day7区26頭、CIDR区16頭、併用区14頭であった。また、AI時に子宮収縮を認めたものは、day6区13頭、day7区29頭、CIDR区16頭、併用区14頭であった。(2)繁殖成績平成13、14、15年の成績では、各区の最終種付回数は、day6区延55回(平均2.75回)、day7区延69回(平均2.03回)、CIDR区延51回(平均2.55回)、併用区延42回(平均3.00回)と、day7区が少ない傾向であった。全体の受胎率は90.0%(81/90)で、オブシンクがその後の繁殖成績に悪影響を与えないことが示唆された。なお、受胎牛81頭の推定初産分娩平均月齢は、13年25.0か月齢、14年25.2か月齢、15年25.7か月齢であった。なお、各区において発情徴候を示さない無反応牛にも定時授精をしていることが、AI回数を増やす要因の1つにもなっているものと思われる。また、day7区に比較し、CIDR区、併用区の受胎率が低い傾向なのは、通常のCIDRの使用方法に1回目の発情時はAIせず次回の発情時にAIする方法があり、その特性も1つの要因と思われる。今後の問題点と次年度以降の計画:オブシンク定時授精方法の選択と初期発育の影響及び不受胎牛への省力的AI等の手法並びに経済性・労働力などの検討。
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研究対象 |
乳用牛
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戦略 |
畜産
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専門 |
繁殖
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部門 |
牛
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カテゴリ |
受胎率向上
省力化
繁殖性改善
放牧技術
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