タイトル | 黄色ブドウ球菌による潜在性乳房炎の早期診断・治療システム |
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担当機関 | 北海道畜試 |
研究期間 | 1999~2002 |
研究担当者 |
下タ村圭一 河合一洋 古関 博(十勝農業共済組合) 三木 渉 瀬尾洋行 川本 哲(北海道畜試) 蔵本 忠 斧田稔行 平井綱雄 堀川敏夫 |
発行年度 | 2003 |
要約 | 治癒率が低いとされる黄色ブドウ球菌による乳房炎でも、感染初期の潜在性の段 階であれば、泌乳期治療で 70 %以上の分房を治癒させることができる。また、分娩前 |
キーワード | 乳用牛、潜在性乳房炎、黄色ブドウ球菌、早期診断、治療 |
背景・ねらい | 黄色ブドウ球菌による乳房炎は治癒率が低いため、罹患牛は淘汰あるいは盲乳処置され ている。この原因のひとつとして、感染初期に治療が行われていないことが考えられる。 そこで本試験では、一般酪農家の牛群において、感染初期の潜在性の段階で治療を行う ことにより、高い治癒率を得ることができることを実証するとともに、分娩前における治 療の効果について検討し、同菌による乳房炎を早期に摘発して治療するシステムを確立し、 治癒率の向上をめざす。 |
成果の内容・特徴 | 1.乳房炎起因細菌陰性を確認後、乾乳処置をしている牛群において、分娩前および分娩 後最初の搾乳時の乳汁サンプルから黄色ブドウ球菌、環境性連鎖球菌、コアグラーゼ陰 性ブドウ球菌などの乳房炎起因細菌が一定割合検出される(表1)。このことから、こ時期における乳汁検査の必要性が確認された。 2.黄色ブドウ球菌による潜在性乳房炎罹患牛に対して、泌乳期に抗生物質の乳房内注入 (1日2回)と筋肉内投与(1日1回)の併用を3日間行うことにより、70 %以上の 分房が治癒する(表2)。分離された同菌のペニシリン、カナマイシンに対する感受性 株割合は 50 %以下と低値である(図1)。 3.分娩2週間前の乳汁から乳房炎起因細菌が検出された分房に対する抗生物質の乳房内 注入(黄色ブドウ球菌の場合はタイロシン製剤の筋肉内投与を併用)による治療は有効 である(表3)。 |
成果の活用面・留意点 | 1.治療に用いる抗生物質の選択は薬剤感受性試験の成績を基に行う。 2.抗生物質投与牛の生乳は出荷停止期間終了後、薬剤残留がないことを確認してから出 荷する。 |
カテゴリ | 出荷調整 乳牛 薬剤 |